ドラマ『初めて恋をした日に読む話』
ヒロインの幼馴染として登場する東大卒のエリート商社マン、
初恋を忘れられずこじらせた童貞という意味で初恋童貞らしい。
キャバ嬢からは「天然記念物」呼ばわり、
世間からの見る目はそんなものなのだろう。
「ドラマの設定だからそんなやついねぇよ」
という批判はさておき、
いくら美談にしようとしたところで、
宗教上の理由や生理的なものでなければ、
童貞はただの臆病者、
出すべきときに出すべき勇気を出せなかっただけ、
30にもなればチャンスはいくらでもあったはず、
そして初恋の相手がいようが心を動かされないわけがない。
それをうまくいかなかったからって、
「自分には好きな人がいるから」って、
それを免罪符にして自分を慰める。
心が動かされた時点で浮気、
いくら勉強ができたところで、
いくら仕事ができたところで、
恋愛に関してはただの臆病者、
それをしっかりと認識しなくてはならない。
と、現役の「魔法使い」は語る。
ヒロインの深キョンはそれで、
青春を勉強に奪われたからと30過ぎてから粋がってみる。
何が「自分のようにはなるな」だ。
過去の自分を否定したところで新しい自分にはなれない。
「この経験があったから今の自分がある」
そう思えないで別の生き方をしようとしたところで、
心の空洞は残ったまま、
そこに積み上げるものが重ければ重いほど、
盛大に地盤沈下してしまう。
今後の展開はわからないけれど、
「青春を取り戻す」というテーマならば、
大して面白みのないまま終わりそう。
ソーシャルワーカーをしたり、
不妊の妻をしたり、
子供の受験のために社会でも家庭でも奮闘する母をしたり、
「不器用だけど健気でしっかりもの」のイメージを作ってきたのに、
高校生と比較して「おばはん、おばはん」て、
深キョンの無駄遣い。
「愛はパワーだよ」
若さゆえに許される痛いほど純粋で真っ直ぐな愛、
いくら懐かしんだところであの頃には戻れないのだ。