人のいいところしか見えないくらいに、
食い物にされていることに気が付かないくらいに、
鈍感になりたい。
要らぬことに頭を悩まさなくて済むから、
心を傷つけられずに済むから、
だから、
鈍感になりたい。
だけれども、
鈍感に染まってしまうと、
知らないうちに誰かを傷つけてしまう。
それに気がつくこともできずに、
気がついたときには手遅れで、
それじゃあ、
あいつと同じになってしまう。
嫌いなあいつと、
鈍感になりたい。
だけれども人の痛みには鈍感になりたくない。
そのためには、
たくさん傷ついた経験をしなければならない。
だから、
今の苦しみはそのためのもの、
心を閉じてしまうと、
眼の前にフィルターが現れて、
何もかもが色あせて見えてしまう。
鈍感になって、
心をさらけ出して、
もう一度、世界の美しさに目を瞠って、
世界を信じられるようになって、
人の悪意や不誠実さ、
身勝手さ、
そんなものなんてものともせず、
悠々と生きていきたい。
だから私は、
自分の心に正直に、
人の痛みには敏感に、
そして人の視線には鈍感になりたい。
誰からどう思われたっていい。
私らしく生きるのだ。