私は雨が嫌いだ。
電車は混むし、
服は濡れる。
傘を差すのも億劫だ。
先日、
東京で久々に雨が降った。
憂鬱な気分で、
家を出るけれど、
歩いていて、
ふと心地よさを感じる。
「まるで自分の代わりに空が泣いてくれているみたい」
なんだかそんな気がした。
泣きたくても涙が出ない。
素直に泣けるお年頃ではないのだ。
可愛い女の子でもない。
男がメソメソしていたところで、
誰も相手になどしてくれない。
素直な感情表現は、
下手になる一方だから、
一人になったところでそれは変わらない。
まるで、
自分のために流す涙など、
枯れ果ててしまったようだ。
だから、
「代わりに雨が泣いてくれているみたい」
そう思ったときに、
すっと心が軽くなった。
「雨降られ空にフラれ
びしょ濡れて歩いて行こう
新しい恋に向かって
明日は晴れるよ」
これからは少しだけ、
雨のことが好きになれそう。
なんだか子供に戻ったみたい。
次の雨が待ち遠しい。