例の雨女さんに心を奪われてから、
「おことわり」をされたのあとも、
私のもとに心が帰ってこない。
「心ここにあらず」なのだ。
作業のように日常をこなしながら生きている。
ただ命をつなぐために、
情緒は不安定、
いつだって涙が出そうで出ないし、
ちょっとしたことでもイライラが止まらない。
体調もすこぶる悪い。
「心を返してよ」
大事なものなんだよ。
先日お会いした女性と、
次にお会いする女性から、
アプローチを受けている。
こちらから区切りをつけても、
毎日連絡は途絶えない。
作業のように婚活を続けて、
好きでもない人に愛想を振りまいて、
男としての自尊心を取り戻そうと躍起になる。
周りから見ればうまくやっているのかもしれないけれど、
誰よりも自分はわかっているのだ。
こんなことを繰り返していても、
自分のことが嫌いになるばかり、
「救えない」
人の幸せが嫌でも目につく。
そして嫌でもそれに嫉妬してしまう。
満たされないのだ。
「生活を充実させればいい」
「恋愛だけが全てではない」
そんなことを言われても、
求めて求めて、
いつだってあと一歩でスルリと抜け落ちる。
そんな経験を繰り返していたら、
どうしたって恋愛にこだわってしまう。
もはや他のことで補完などできないのだ。
「恋愛の借りは恋愛で返す」
そんな変な使命感はない。
だけれどもそうすることしかできない。
満たされない原因は、
男としての自尊感情の低さ、
それは明白、
異性と心から愛し合った経験、
それが私の人生から抜け落ちているのだ。
向き合えば向き合うほどに、
その現実が刃の如く鋭利に心を抉る。
繰り返し、繰り返し、
執拗に抉るのだ。
「本気になれる相手がいないだけ」
なんとかなると思っていた。
でも本気になってもなんともならなかった。
そして、
心はどこかにいってしまった。
相手が心の底から愛してくれたとしたら、
はじめは気持ちがなくても、
私もたまらなく好きになれるものなのかな。
試して見る価値は十分にあるけれども、
どう考えても不誠実で私の主義に反すること、
気持ちのない相手と一緒になってみて、
経験を積み重ねて気持ちが動かなければ理由をつけて別れる。
そういうのって、
皆さん一度や二度は経験しているのだろうな。
私はそれができなかった。
だから今に至るのだ。
だけれども、
もうそれもアリなのかなと思う。
プライドなど捨てて、
なりふり構わず「婚活宣言」をして、
がむしゃらに動いてきた。
その先の今、
リミットは近づいている。
せっかく受けているアプローチ、
終着点はそこなのかもしれないな。
心を取り戻すために、
それを受けてみるのも悪くないのかもしれない。
そこから始まるものだってある。
幸いにも心を寄せてくれる人がいるのだ。
それって妥協なのかな?
それって不誠実なことなのかな?
もはやどうしたらいいのかわからない。