
つないだ手の感触が残り続けている。
一度はつながった気持ち、
そんなに簡単に離れてしまうものなのかな。
形のないものだから、
確かめる術はないけれど、
確かにその気持ちは存在したのだろう。
この痛みが、
きっとその証拠、
猫のように気まぐれで、
梅雨とともに去っていった。
そんな彼女は、
幻だったんじゃないかな。
ふと、そう思う。
いつも笑顔だけれども、
時折見せる疲れた表情、
話しかけると一瞬でそれは消えた。
何を思っていたのだろう。
私と過ごしてくれた時間に、
何を考えていたのだろう。
楽しそうに振る舞うその内側で、
こうなってしまったのは、
何かの手違いだったんじゃないかな。
もう一度、何かの手違いで、
戻ってきてくれないかな。
そんな事ばかり考えては、
最後の日から積み重ねた日にちを、
丁寧に数え続けている。
振り返っては、
その日の気持ちと今を比較して、
どれだけ前に進めているのだろうって、
そんなことばかりに囚われて、
「なんで?」から、
「ありがとう」には移れたけれど、
「さようなら」までの距離はまだ遠いみたい。
「8月」
偽りの約束に思いを馳せて、
このまま過ごすことになるのかな。
周りは目まぐるしく動いている。
私自身がそれを動かしているのだけれども、
私の心は止まったまま、
無心で踊っているだけ、
心と体の距離は離れていく一方だ。
どこかで話し合いが必要だ。
心と体の間で、
話し合う必要があるのだ。
だけれども今は踊るだけ、
とにかく先に進むために、
心を置き去りにして、
毎日、心のこもらないメッセージのやり取りをして、
会う約束を重ねて、
もはや予定は埋まりつつある。
不器用な私の持ち合わせている選択肢は、
「ただ進む」しかないのだ。
「この人じゃないな」
ほとんどはそういう出会い。
仲睦まじくメッセージを重ねていても、
終わりはひどくサッパリとしたもの、
繋がっているのは一本の糸だけだから、
少し強く引けばプツリと切れてしまう。
糸から手を離しただけで、
それまで重ねた時間は闇の中に消えてしまう。
簡単に終わってしまうのだ。
痛みの伴わない恋なんて、
みんな「偽物」
唯一の例外は、
それが「愛」に変わったときだけ、
痛い。
とっても痛い。
恋ってこんなに痛いのだな。
「生ける屍」
痛みを感じているのだから、
まだ死んではいないのだ。