愛犬が亡くなる直前、
医師からは二つの提案があった。
一つはこのまま入院して治療を続けること、
それでも経過が良くないので、
頑張れる見込みは1割くらいだと思ってくださいとのこと、
そしてもう一つはこのまま家に連れて帰ること、
このまま酸素ケースから出したら急変する確率は高く、
もしかしたら家まで持たないかもしれませんとのこと、
私たちは前者を選んだ。
必死で生きているから、
抱きかかえてあげたいと思うけれども、
そこから出たら死んでしまうんだよ。
1割助かるならば大丈夫、
そう思ったから、
だけれどもそこから2時間くらいしか持たなかった。
最後の時間、
「帰りたいよ」って、
あの子は最後の力を振り絞って立ち上がった。
命を削ってでも温もりを与えてあげればよかったのかな。
だけれども1割に懸けて、
また一緒に遊べるようになるかもしれない。
もしもこのまま外に出したら助かった命を終わらせてしまうんじゃないかな。
不自由な二択、
どちらを選んでも後悔するのだ。
それならば結果を受け入れるしかないな。
葬儀まではまだ家にいるから、
もう伝わることはないけれども、
たくさんの温もりと感謝を浴びせてあげよう。
生きている人が幸せになるために死はある。
死を乗り越えて強く輝いて、
その後の生をより充実させるのだ。
それが何よりの弔い。
悲しみに暮れる時間は避けられないけれども、
そのまま終わってしまったら、
死に対して失礼だ。
そう思う。
だからこれを機に、
悲しみに暮れながらも、
また強く生きたいな。
苦しみは、
あの子が全部持っていってくれたから、
小さい体で、
一身に背負って、
持っていってくれたから、
私たちが、
悩むことなく、
明るく前に進めるように、
最後まで一生懸命に生きてくれたから、
幸せにならないと、