エスカレーター

f:id:tureture30:20191229105414j:image

 

「手を出して」


無邪気に差し出されたその手を、

僕は優しく握りしめた。


「どういうこと?」


そう戸惑う彼女に対して、

「手、つなぎたいなと思って…」


そう返すと、

彼女も少し弾んだ声で、

「そうだね」って、

そう返してくれた。


エスカレーターを前にして、

一段先に踏み出した僕の後ろから伸びる、

白くて柔らかい手、


「リードしないと」


そう意気込む僕を気遣うように、

一段前に踏み出す彼女、

 

隣に並んでくれた。


「カッコつけなくていいよ」

 

その踏み出した一歩は、
そう伝えるかのようだった。


そんな二人を運ぶ十数秒、


「この時間が永遠に続けばいいのにな」


だけれどもそうは行かない。

ここから先は自分の足で歩くのだ。


結ばれた手をしっかりと握って、

二人並んでそれぞれが自分の足で歩くのだ。


歩幅がずれたっていい。

少しばかり休憩したっていい。


だけれどもいつも一緒に、

時には手を引いて、

時には手を引かれて、

そうやって進めばいい。


天が二人を分かつその日まで、

この手は絶対に離さない。

 

だから今ここで思いを伝えよう。

 

「すきだよ」って、

「これからもずっと一緒にいたい」って、

 

 

7月13日、

今年一番幸せだった日の思い出、