突然の訃報に驚いた。
選手としては戦後初の三冠王、
通算歴代2位となる本塁打に打点、
キャッチャーをしながらの選手兼任監督、
獲得したタイトルは数知れず、
監督としても超一流、
弱小球団を率いて種を撒き、
その数年後には全てのチームが日本一を経験した。
今やその教え子たちが、
球界各地で指揮をとっている。
訃報を受けた彼らは口々に言う。
「自分の野球人生で最も影響を受けた人」
このこと一つとっても、
球界に与えた影響は計り知れない。
「世界で一番『野球』を知っている人」
そう言って間違い無いだろう。
「ベースボール」ではない。
日本独自に進化した「野球」なのだ。
もともとルールは決まっていたけれど、
「投げたボールを打ちかえす」
そんな単純なスポーツ、
頭を使うだなんて考えは浸透していなかった。
配給を読んだり、
投手や打者の癖を分析したり、
クイックや投手分業を生み出したり、
時にはプライベートな揺さぶりをかける。
『野球』を頭を使うスポーツにした。
その第一人者、
「日本の現代野球を作った人」
そう言って差し支えないだろう。
私はヤクルトファンだ。
物心ついた時は、
「野村ヤクルト」黄金時代だった。
4位と優勝を繰り返す。
常勝ではない。
どこか魅力的なファミリー球団、
だけれども個性的で強いチームだった。
そんな姿に惹かれたのだろう。
多くのヤクルトファンは、
おそらくこの時期を経験している。
その姿を見てファンになった人は少なくないはず、
ノムさんが監督をしていなかったら、
人気低迷から球界再編の荒波を乗り越えることができずに、
ヤクルトスワローズという球団は存続していなかったかもしれない。
弱くても応援することをやめられない。
もはやライフワークの一つ、
こんなにもワクワクする球団を残してくれた。
そう考えると私にとっても恩人だ。
球春到来して、
各地でキャンプが始まっている。
恩師の訃報に涙を見せた、
そんな高津監督率いる今年のスワローズが、
どのような戦いで野村監督に応えるのか。
今から楽しみだ。
野村監督、
野球を愛して、野球と共に生きた人生、
本当にお疲れ様でした。
これからも天から球界を見守っていてください。
春の訪れと共に、
今年もプロ野球は始まる。