昔のトレンディドラマなんかを見ていると、
携帯電話なんて便利なものはなかったから、
物理的にすれ違ってうまくいかなくなる。
「気持ちは繋がっているはずなのに、、、」
そんな切なさを演出している。
だけれども、
今は連絡が取れなくなるなんて、
めったにないことだから、
都合が悪くなると自ら連絡を断つのだ。
「繋がりたいけれど繋がることができない」
そういう時代から、
時は移り変わり、
「繋がりたくないから繋がらない選択をする」
便利になるほどに心の距離は遠ざかる。
なんとも因果なものだ。
「会えない時間が二人の距離を縮める」
次に会うまでに、
話したいことがたくさんあって、
それをどうやって伝えようかって、
妄想を膨らませて過ごす。
だけれども今は四六時中、
連絡を取り合って、
顔を見ながらおしゃべりできて、
そうした欲求を解消できてしまうのだ。
切る時だって簡単だ。
別れの言葉など必要ない。
連絡が途絶えたらそういうこと、
それを察することができないと「痛いやつ」
会う日の約束だけして、
その日を心待ちにする。
途中で連絡を取ることはできないから、
顔を見るまでは会えるかどうかわからない。
そんな不安に苛まれながらも、
どこか胸を踊らせて、
あの人のことだけを思い浮かべて、
その瞬間を待つ、
だから顔が見えた瞬間に、
抑えていた感情は爆発して、
自然と笑顔が溢れてくる。
昔は「恋愛」というものに、
「あまずっぱさ」がなければならないって、
そういう暗黙の了解があったのかな。
今はなんだか違う。
淡々と作業のように出会いを重ねて、
条件次第で関係を進めて、
「互いの利害の一致したところ」
そこが交際の始まりなのだ。
簡単に繋がることができるから、
忙しくいろいろな可能性を模索して、
落としどころを探っている。
男も女も誰かと比べて比べられて、
「恋に落ちる」
そこから始まる関係って、
絶滅危惧種なんじゃないかな。
結局はどこかで条件を探している。
婚活に毒されてしまったからだろうか。
そんな女性ばかりと関わっているものだから、
心はどんどん動かなくなる。
「好き」に理由なんて必要なのかな。
「好き」よりも婚期を優先して、
「この人でいいか」なんて落とし所を探って、
そんなものを恋愛と呼ぶならば、
そんな恋愛はできなくてもいいかな。
「笑窪は恋の落とし穴」
そんな素敵な落とし穴にハマってみたいものだ。