不意に触れ合う手と手、
触れた部分に意識を集中させながらも、
それに気がつかれないように平静を装う。
「触れた」
君に触れられて、
本当は嬉しいはずなのに、
素直にその気持ちを表現できない。
「温もりが欲しくて」
肩と肩とが触れ合った。
どこか君も距離を詰めたがっているみたい。
だけれども、
ひとかけらの勇気を振り絞れなくて、
その肩を抱き寄せることはできない。
時ばかり過ぎていく。
徐々にぎこちなくなる二人、
言葉の数とは裏腹に、
心の距離は少しも縮まらない。
歩幅の違いなのかな。
お互いの気持ちを信じられなくて、
体の距離まで少しずつ離れていく。
「確かに繋がっていたはずなのに」
揺れる。
触れる。
そして、離れる。
言葉だけじゃ足りないよ。
温もりを感じたい。
触れられなくてもいい。
隣に並ぶだけでいい。
それだけで、
温もりを感じられるから、
君の近くにいたい。
ただそれだけでいい。
だけれども、
もう君の心は、
他の誰かのもの、
代わりのもので暖をとっても、
僕の心は冷え切ったまま、
このまま凍えてしまいそうだ。
誰か温もりを与えてよ。
心が凍えて、
動かなくなってしまう前に、