「童貞仲間」
とは言っても、
彼は周りにカミングアウトしていたが、
私は彼にカミングアウトしていないから、
「仲間」というのもおこがましいのだけれども、
(まあ薄々気が付いているだろうけど、
それでも私に恋愛相談をするのだから面白い)
少し年下の後輩くん、
2年近くだろうか。
付き合っている彼女がいた。
色々とあったけれども、
今年に入ってゴールイン、
でも彼、
お互いの体に問題があるわけではないのに、
付き合っていても最近まで体の関係はなかったらしい。
(今もあるとは聞いていないけれど)
私も彼女とはそうだったけれど、
3か月かそこらだから比較にならない。
そんなプラトニックな関係があるのだなと、
とても感心した。
考え方は私ととても似ている。
「真実の愛」を追い求めて、
女性に対してどこまでも誠実でありたいなんて、
とことん苦労するタイプだ。
結構ひどいことを相手からされていたけれど、
そのわがままに耐え続けて、
徐々に結婚に向けての既成事実を積み重ねていった。
その末のゴールインだから、
「うまくやっていけるか不安」
そう言っていたけれど、
一緒に住んでみたら杞憂だったみたい。
「案ずるより産むが易し」
心配していたのがバカらしいと思えるほど、
うまくやっているとのこと、
すごい相談されていた時期があった。
半泣きで電話がかかってきたこともあった。
我慢を勧めることもあったし、
別れを勧めることもあった。
最後は「なるようになるよ」って、
それしか言えないような状況だった。
そりゃーさー。
嫉妬は正直あった。
だけれども、
その彼がゴールインしてよろしくやっている。
それってとても喜ばしいことだ。
私の周り、
ここ2,3年で稲穂が刈り取られる収穫期のように、
次々と結婚していく。
「適齢期」
そういうのってあるのだなって、
周りを見て実感するほどに、
もはや完全なマイノリティだ。
気安く誘えるような友達は随分と減った。
その反面、
友達奥さんと接することが増えたから、
同世代の女性との接点は増えた。
ありがたいことに紹介の話も何度かあった。
「その気になれば全然大丈夫でしょ」って、
「ますをさんなら結婚できないことないでしょ」って、
そんな女性からの言葉を慰めにして、
何とか自尊心を保っているのだけれども、
時には「おねぇの方ですか?」って、
友達奥さんに真顔で聞かれた私は「実はそうなんです」って返した。
そうしたら「いやいやいや」と割って入る友達、
こじらせすぎて「そこまで来たか」と思ったエピソード、
話を戻そう。
後輩くん、
彼は本当にすごいやつだ。
付き合っていてもお預け、
それに耐え続ける誠実さも去ることながら、
飲み会で話していて10人が9人「別れ」を勧めるような状況でも、
「別れる」という選択をしなかった。
我々みたいなタイプは、
女性から都合よく扱われる。
誠実であろうとする心を食い物にされるのだ。
私は我慢が足りないのかな。
こちらは搾取されるばかりで、
たまに一滴ほど与えられる愛情を拠り所にして、
関係を続けていく。
男は「養分」なのだろうか。
だけれども、
惚れた相手に「養分」にされるならば本望なのだろう。
幸せが続くことを願って、
彼に「おめでとう」を贈りたい。