端っこと端っこを持って、
相手を自分のもとに引き寄せようと、
お互いに力いっぱい引っ張る。
そうすると、
「ぷつり」と、
音を立てて切れてしまう。
そうやって切れてしまった「糸」
数えきれないくらいに散らばっている。
それを見るたびに後悔に苛まれて、
「あの時にああしていれば」って、
どうしようもない過去にばかり思いを馳せる。
その糸くずは、
「惨めさの象徴」だ。
相手を引き寄せようとするのではなく、
自分が歩み寄ればよかったのだ。
「張りつめた糸」
くだらない駆け引きを続けているうちに、
お互い引く力はに強くなる。
そして「ぷつり」
相手を求めるほどに、
相手を思いのままにしたいと思うほどに、
相手との距離は遠ざかる。
まずは一歩だけでいいからさ。
一歩だけ踏み出してみてさ。
相手の心に歩み寄ってみてよ。
主導権なんて考えなくていい。
そんなことを考えているうちは、
利害関係が先行しているのだ。
「張りつめた糸」
一歩だけ歩み寄ることで、
そこに生まれた「弛み」
はじめは照れ隠しに、
強がってはみるけれど、
次第にそれが「居心地の良さ」に変わる。
そうやってどんどん「弛み」は大きくなり、
糸が地面と接した辺りで、
二人の指は触れ合うのだ。
そしてその指と指には、
同じ真っ赤な糸が結ばれていることに気づく。
「張り詰めた空気」
お互いに引っ張り合っていたってことはさ。
お互いを求めていたという証拠、
だけれども、
気持ちを差し出すことができないからさ。
相手に気持ちを差し出すことばかり求めているからさ。
「ぷつり」
気がつくと手応えがなくなっている。
自分のプライドと、
相手を好きな気持ち、
それを引き合いに出して、
自分のプライドが勝ってしまうからさ。
「ぷつり」
相手はハサミを取り出して、
引っ張られる前に糸を切ってしまうのだ。
「相手を思い通りにしたい」だなんてさ。
そんなことばかり考えているならば、
「相手を好きではない」んだよ。
装飾品か何かと同じ、
自分を飾るための道具、
家電か何かと同じ、
生活を便利にするための道具、
「人」と「人」だからさ。
心を通わせることができるはず、
目の前に散らばる「糸くず」
そこから学ぶことはあっても、
それを大事に取っておく必要はない。
それを愛おしそうに眺めてばかりいないでさ。
さっさとゴミ箱に捨ててしまえばいい。