評価が高く、
ずっと気になっていた作品、
例の如くAmazonプライムだ。
アニメが原作、
そこからコミカライズされたようだ。
とても丁寧に作り込まれている。
1話からゾワっとした。
演出は凄まじい。
テンポもいい。
全13話もあれば、
いくつかは中身のないいわば「つなぎ」
大体の作品がそうできている。
ところがこの作品、
捨て話が一つもなく、
全てに感動とカタルシスがある。
自然と顔が綻ぶかと思えば、
「グッ」と涙を堪えるようなシーンに切り替わる。
感情を上下左右に大きく揺さぶる。
素晴らしいの一言、
紛れもない名作だ。
主役となる4人の女子高生、
それぞれのモヤモヤを抱えて、
「宇宙よりも遠い場所」である南極を目指す。
みんな違う方向に不器用でまっすぐ、
そして混じりっ気なく心がきれいだ。
南極に行って「ザマーミロ」って言ってやりたい。
そう言って、
理不尽と向き合いひたむきに戦う子、
「何者かになりたい」
そんなモヤモヤを感じながら過ごす子、
「本当の友達が欲しい」
そう思って踏み出したけれど、
気がつけば友達、
だけれどもその友達を信じられなくて、
試すようなことをしたりして、
ぶつかり合うこともあって、
互いのために泣きあえる。
つながる絆、
「南極」という目的一つで気持ちが繋がった。
そんな素敵な4人だ。
そして、
4人を囲む味のある大人たち、
大人たちもそれぞれ葛藤しながら生きている。
愚直に不器用に、
ひたすらに目的に突き進む。
ある意味では子供っぽい。
だけれども、
子供たちの前では「大人」であり続けるのだ。
そのカッコよさ、
「子供」に憧れてもらうのも、
「大人」としての責任だ。
そんなメッセージを感じる魅力的な大人たち、
「子供」からの脱却、
自分の足で新しい世界への一歩を踏み出す。
『秒速5センチメートル』でもあった描写だけれども、
人類で初めて月に降り立った、
アームストロング船長ではないけれど、
「小さな一歩でも人生にとって大きな飛躍の一歩」
だれしもがどこかで、
そんな一歩を踏み出していたのだ。
もう随分と前のことだから忘れてしまったな。
私が初めて一人旅に出たのは大学の頃だろうか。
「一人旅は性に合っている」だなんて、
帰りにはちょっぴりだけど、
誇らし気だったことを覚えている。
「全てが輝いて見えてな」って、
「こういう時期もあったな」って、
そういうカタルシス、
「友達」とは何か。
終盤のテーマとなるそんな問いかけ、
詳しくは書かないけれど、
救われたシーンがある。
「私の大事な友達を傷つけておいて、
謝って救われようと思うな。
一生モヤモヤを抱えながら生きていきなさい。
それが人を傷つけた報いだ」
内気な少女が、
そんな事を叫ぶシーン、
「許せなくても良いんだ」って、
「相手を一生苦しめても良いんだ」って、
「許さない私が悪いんじゃないんだ」って、
なんだか救われた。
「少女たちが大人の階段を登る物語」
旅の前と後では、
同じ景色が180度変わって見える。
当たり前のように見えていた日常、
そこにある景色は当たり前ではないのだ。
そのことに気がついてしまった。
「先に進んでしまったのだ」
知ってしまったら最後、
もう子供のままではいられない。
「子供」は「大人」になりたがるけれど、
「大人」は「子供」に戻りたがる。
だけれども、
いくら望んだところで、
脳が正常な限りは元には戻れないのだ。
「私たちはもう私たちになったんだから」
印象的なセリフ、
これから彼女たちを待ち受ける世界、
それまで以上に厳しく残酷な世界だ。
だけれども、
周りには信頼できる仲間がいる。
その仲間にその身を委ねる強さを手に入れた。
そして「また会おう」って、
「約束の場所にみんなで揃っていこう」って、
そんな「希望」を手に入れた。
人の心の奥深くにも、
それはあるのかもしれない。
長い時間をかけて、
ひたむきに向き合って、
向き合い続けて初めて到達できる。
そんな場所、
そこに到達して初めて、
「自分」になれるのかな。
最終話を見終わった後で、
もう一度初めから見ている。
こんなことは初めてだ。
私の心が求めているもの、
「初めの一歩を踏み出した時の無垢な感情」
世界が輝いて見えた。
未来は希望で溢れていた。
「子供」から「大人」になって失うもの、
「大人」から「自分」に生まれ変われた時、
人はもう一度「子供」から見える世界のように、
「輝いた世界」を取り戻せるのかな。
どこまで行っても自分次第だ。
全ては自分の力で掴み取るのだ。
もう一度、
「輝いた世界」を取り戻したい。
「現実」なんて飛び越えてさ。
「生」を実感したい。
そんな気持ちを呼び起こしてくれた作品、
自信を持って勧める名作、