「童貞のまま結婚した男」の記録

元「30代童貞こじらせ男」 30代後半まで童貞で、そのまま結婚した男の記録です。

今の私になる前の私について

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本質的な気質は大して変わらないのだろう。

だけれども自己認知は大きく変わった。


とことん上昇志向だった。

そして「努力は報われる」と信じていた。


結果が出ないのは「努力が足りないから」だって、

いつも自分を追い込んでいた。


なんにでも首を突っ込んで、

一挙手一投足に至るまで「最適」を目指していた。


だから心と体が耐えられなくなって、

自律神経が壊れてしまった。


そこからの私は、

その正体を突き止めようとして、

世界のことをよく見るようになった。

そして睡眠が苦手になった。


毎日、日記をつけるようになった。

日々を積み重ねている実感が欲しくて、

ちゃんと先に進んでいる実感が欲しくて、


今思えば「前の私」は、

そんなことは気にもしていなかった。


何も考えずに過ぎていく日常、

「眠れない」なんて考えたこともなかった。


根拠のない自信に包まれていて、

淡々と課題をクリアし続けて、

言葉にはしなくても、

「できない奴は努力が足りない」だなんて暴論振りかざして、

自尊心の源は「自分はできる」だなんて思い込み、


「ミスは許されない」

その毒は知らず知らずのうちに自分を蝕む。


心と体にかかる負担に気が付きもしないで、

高揚感に支配されていたのかな。


世界の正体になんて見向きもしないで、

「高いところに自分の居場所がある」

それだけに生きがいを感じていて、


「人より優れている」


誰かと比べることでしか、

自尊心を満たす術を持たなくて、


だからおかしなことになる。


経済的には豊かになっても、

心は貧しくなっていく。


数字ばかりを追い求めて、

「居場所」を守ること以外に興味を持たなくなって、


自分の周りの人や物はすべてステータス、

自分を飾るための道具、


そうなってしまったら人間終わりだ。


心配しているように見せていても、

腹の中では打算が働く。


損することを恐れて、

人の好意の裏側に打算を探すことに躍起になる。

 

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「誰も信じられない」


そうやって、

ますます人を「モノ化」していくのだ。


全てを無機質にしてしまうと、

「思い通りになる」って勘違いするようになる。


うまくいかないことがあったって、

自分は特別な存在だって思いこんで、

「幸せになるべきだ」って、

「報われるべきだ」って、

「根拠のない期待」に毒される。


BUMP OF CHICKEN『ハンマーソングと痛みの塔』


自分の痛みや苦しみを見せびらかして、

自分はあなた方とは違ってこんな高みに居ますよって、

そんなことで自尊心を満たそうとして、


「不幸自慢」


その正体は「自分に対する過度な期待」なのだ


自分は誰よりも自分の努力を知っているから、

自分のことを過大評価しがちだけれども、

周りだって同じように努力している。


「報われない」のは自分だけではないのだ。

「不幸だと感じている」のは自分だけではないのだ。


ふとしたときに、

知人から言われたことがある。


「邪悪さが消えた」


「この人は私を邪悪だと思っていたのか」

というのはさておいて、

きっと「こうあるべきだ」みたいな呪縛から解き放たれたのだろう。


「今の私」はきっと、

「前の私」のように根拠のない自信と、

いつでもどこでも寝られるスキルを手に入れることはできないけれど、

その代わりに手に入れたものもある。


「信念」は諸刃の剣、

切り刻まれてしまう前に、

手放すことが必要な場合もある。


手放すことが「負け」なのではなく、

「自分を愛せない」ことが「負け」なのだ。


自堕落でもいい。

自己陶酔に浸ってもいい。


自分を嫌いになってしまったら、

そこから先に未来はない。


倫理や道徳に哲学って、

自分を嫌いにならないための基準なんじゃないのかな。


「努力していないと自分を認めてあげることができない」


嫌気がさすことばかりだけれども、

文句を言いながらも、

私は私を好きになろうと思う。