「童貞のまま結婚した男」の記録

元「30代童貞こじらせ男」 30代後半まで童貞で、そのまま結婚した男の記録です。

「ペットボトルの中」に見える景色

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ペットボトルで水を飲む。


少しずつ斜めに傾けながら、

目線よりも上にかざしてみる。


舌を使って出口を堰き止めて、

少しずつ角度を増していくボトル、


75度くらいまで上がったところで、

ふとボトルの中に視線を注ぐと、

「水の中」にいるみたい。


そのことに気が付いてから私は、

何かに後押しされるかのように、

自然とその行為を繰り返すようになった。


「重力が失われていく」

 

一種の暗示のようなものだろうか。

 

高々500mlの「小さな水の塊」

その中に私の心は溶け込んでいく。

 

そして「スッ」と重力を失っていく。

 

散らかった言葉たちが、

水中に身を預けて「ふわり」と浮かび上がり、

あるべき場所に引き寄せられていく。

 

頭の中に「隙間」ができる。


「どうでもいい」って、

「別にどうでもいい」って、

 

出来上がった「隙間」に、

私はそんな言葉をぶち込むのだ。


目の前に課題があって、

あまりにもそれに近づきすぎてしまうと、

その「課題」に目隠しされてしまう。


「目の前のこと」


それが人生を左右する一大事、

そんな風に見えてしまいがちだけれども、

大抵そんなことはないのだ。


だから無重力に身を任せて、

見える景色が変わってきたら、

改めて「身の振り方」を考えてみればいい。


コンビニでコイン一つでお釣りが来る。

100円にも満たない、

そんな水の入ったペットボトル、

 

使い方次第では、

その価値を100円以上にすることができるのだ。


人生ってものは大抵何とかなる。


何とかならなそうなことに直面しても、

人は強かに立ち回り、なんとかするのだ。

 

人は恐ろしく弱くなる時もあれば、

恐ろしく強くなる時もある。

 

そのギャップに傷つけられることもあれば、

それに救われることもある。

 

だから私は今日も、

ペットボトルの中を覗き込んで、

頭の中に「隙間」を生み出す。

 

そして「どうでもいい」って、

自分に言い聞かせるのだ。