宝島社より発表された、
「このマンガがすごい2021」において、
『チェンソーマン』に次ぐ第2位に輝いた作品、
舞台設定がとても面白い。
勇者と旅をして魔王から世界を救った魔法使い、
1000年以上生きるエルフのフリーレンが主人公だ。
人とは時の流れ方が違うエルフの主人公、
少女の姿のまま見た目は年を取らずに、
魔王討伐パーティは徐々に年老いて亡くなっていく。
彼らと旅をした10年が、
フリーレンの心に大きな変化をもたらしていた。
「人間のことを知りたい」
そんな淡く不確かな願望に引き寄せられるように、
仲間の弟子たちと共にかつての旅路をなぞる。
ネタばれは控えるけれど、
あまりにも長い時を生きすぎていて、
どこか命を冷めた目で見ているフリーレン、
だけれどもふとした時に見せる「人間らしさ」
そういう仕掛けが散りばめられていてほっこりさせてくれる。
たったの10年間、
1000年生きるフリーレン自身はそう言うけれど、
その仲間との10年間は彼女にとってかけがえのないものだった。
「命の使い方」
長く生きればいいわけではない。
誰かの心にどれだけのものを残したのか。
その大小ではないけれど、
人生の価値はそこにあるのかもしれない。
そんな「優しく爽やかなメッセージ」を発する作品だ。
戦闘シーンはあるが、
主人公がチートなので緊迫感はなく、
どこか教訓めいている。
冒険ものでありながら、
優しく爽やかな世界観は、
流行りの「異世界転生もの」を彷彿とさせる。
構成からして、
おそらくそんなに長く続くストーリーではないだろう。
1000年以上生きるエルフが、
人間と共存する中で「人間の在り方」を探る。
その結果、どのような答えに行きつくのか。
とても興味深い。
行く末を追いかけたい作品だ。