もう10年以上前だろうか。
原作は随分と前に友人の家で読んだ。
面白くて友人宅に行くたびに続きを読んでいた記憶がある。
とても哲学的で衝撃的な作品だ。
頭の片隅に残っていたのだろう。
例によってAmazonプライムを探索していると、
映画版を視聴できるようだ。
昔の記憶が後押しして、
気が付くと私は「視聴」ボタンをタップしていた。
2部作だったのでかなり長かったけれど、
続けて視聴してしまった。
改めて力のある作品だと実感した。
今ではバリバリの有名俳優となった染谷将太さん主演、
染谷将太さんは演技がうまい。
どんな役柄でも持ち味である「ミステリアスさ」を醸し出す。
あらすじはこうだ。
突如、多数の地球外生命体が飛来してきた。
地球外生命体は人に寄生して脳を乗っ取り、
人の姿のままで人を食料として捕食していく。
主人公も宿主にされかけたが、
寸でのところでそれを抑えるも、
脳ではなく右腕に寄生されてしまう。
人間と、
その右腕に寄生した地球外生命体との、
奇妙な共生生活が始まる。
この作品の肝は、
主人公の人格が変わっていく姿、
心優しい少年から、
地球外生命体と同化することで、
徐々に命を無機質に捉えるように変わる。
変わっていく主人公を、
人としてつなぎとめるのが「愛」の力だ。
「人」と「地球外生命体」での、
生殖行為に対する認識を対比させるかのような描写、
まるで何かを暗示するかのように、
ところどころに散りばめられている。
人は何をもって人と言えるのか。
「合理性」を盾にして、
人を「道具」のように使い、
「自己正当化」に励む人間らしさすら失い、
まるで息をするかのように本能に従う。
「個」よりも「全」
「理性的」でありながらも、
「人道的」ではない。
今の日本ではまだ、
「世論」というものがそれなりに機能している。
むしろ現政権の動きを見ていると、
リーダーシップを発揮して欲しいとは思うけれど、
世論に右往左往していて可愛いくらいに映る。
どこかネジがぶっ飛んでしまって、
急進的に事が進むような事態になってしまったら、
人類はいったいどこへ向かうのだろう。
「人間」の本質について描いた作品だ。
「捕食する側」と「される側」
「全」の範囲をどこまで広げるのか。
人類は「万物の霊長」などと思いあがってやしないか。
「寄生獣」とは何なのか。
物語の最後で語られるその答えは、
人類に対する大きな警鐘だ。