「童貞のまま結婚した男」の記録

元「30代童貞こじらせ男」 30代後半まで童貞で、そのまま結婚した男の記録です。

映画『寄生獣』を見て感じたこと

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もう10年以上前だろうか。


原作は随分と前に友人の家で読んだ。

面白くて友人宅に行くたびに続きを読んでいた記憶がある。


とても哲学的で衝撃的な作品だ。

頭の片隅に残っていたのだろう。


例によってAmazonプライムを探索していると、

映画版を視聴できるようだ。


昔の記憶が後押しして、

気が付くと私は「視聴」ボタンをタップしていた。


2部作だったのでかなり長かったけれど、

続けて視聴してしまった。

改めて力のある作品だと実感した。


『ALWAYS三丁目の夕日』を手掛けた山崎貴監督、

今ではバリバリの有名俳優となった染谷将太さん主演、


大河ドラマ麒麟がくる』を見ていても感じたけれど、

染谷将太さんは演技がうまい。

どんな役柄でも持ち味である「ミステリアスさ」を醸し出す。


あらすじはこうだ。


突如、多数の地球外生命体が飛来してきた。


地球外生命体は人に寄生して脳を乗っ取り、

人の姿のままで人を食料として捕食していく。


主人公も宿主にされかけたが、

寸でのところでそれを抑えるも、

脳ではなく右腕に寄生されてしまう。


人間と、

その右腕に寄生した地球外生命体との、

奇妙な共生生活が始まる。

 

 

この作品の肝は、

主人公の人格が変わっていく姿、


心優しい少年から、

地球外生命体と同化することで、

徐々に命を無機質に捉えるように変わる。


変わっていく主人公を、

人としてつなぎとめるのが「愛」の力だ。


「人」と「地球外生命体」での、

生殖行為に対する認識を対比させるかのような描写、


まるで何かを暗示するかのように、

ところどころに散りばめられている。


人は何をもって人と言えるのか。


「合理性」を盾にして、

人を「道具」のように使い、

「自己正当化」に励む人間らしさすら失い、

まるで息をするかのように本能に従う。


「個」よりも「全」


「理性的」でありながらも、

「人道的」ではない。


今の日本ではまだ、

「世論」というものがそれなりに機能している。


むしろ現政権の動きを見ていると、

リーダーシップを発揮して欲しいとは思うけれど、

世論に右往左往していて可愛いくらいに映る。


どこかネジがぶっ飛んでしまって、

急進的に事が進むような事態になってしまったら、

人類はいったいどこへ向かうのだろう。


「人間」の本質について描いた作品だ。


「捕食する側」と「される側」

「全」の範囲をどこまで広げるのか。

人類は「万物の霊長」などと思いあがってやしないか。


寄生獣」とは何なのか。


物語の最後で語られるその答えは、

人類に対する大きな警鐘だ。