「童貞のまま結婚した男」の記録

元「30代童貞こじらせ男」 30代後半まで童貞で、そのまま結婚した男の記録です。

「次に会う時」までにはきっと好きになっている

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共通の知人の紹介で出会った二人、


店に入り食事を済ませた後、

会話がそこそこ弾むようになってくると、

「共通の知人」は不意にスマホを取り出して、

「急用が入ったから、あとは二人でよろしく」と、

わかりやすい嘘をつき、粋なことに会計まで済ませて去っていく。


取り残された二人、


彼は彼女のことを、一目見た時から「この人かもしれない」とそう思った。

だけれども、伏し目がちな彼女の姿に躊躇して次の誘いを切り出せないでいる。


次につながるアプローチをできないまま、店を後にする。


彼女のことを意識してからは、うまく目を見て話すことができない。

悶々とする帰り道、彼女の熱を感じながら並んで歩いていると、隣からは「あの、」という少し上ずった声、


「はい、」と同じく上ずった声で応えると、

伏し目がちに「また会いたいと思っています」と彼女、


「僕も同じことを思っていました」

そんな言葉が口をつくと同時に、二人の視線は重なった。


見つめ合う二人、


「好き、」


「好き、だなんて初対面でいい加減なことは言えないけれど、

きっと次に会う時までには好きになっていると思います。

また誘ってもいいですか?」


「はい。喜んで」


彼女は笑顔でそう答えた。


スマホを取り出すスベスベとした綺麗な手、

近づく顔、触れ合う指と指、


確かにLINEでつながったことを確認すると、

その安堵からか自然と重なる手と手、


会話のたびにぶつかる視線、

その度に胸は高鳴る。

 

お互いがお互いを感じている。

お互いがお互いだけを見つめている。


「好き」

湧き出す感情、


「次に会う時まで」だなんて言ったけれど、

「会っているうち」にもう「好き」になってしまった。


だけれども、そのことを伝えるのは「次に会ってから」にしよう。


別れた後も冗談混じりのメッセージを送りあいながら気持ちを深める。

「次に会う時」を楽しみにして、毎日やり取りを続けていた。


ところが、次第に鈍るレスポンス、

3日空いた返事に一言だけ書かれていた「ごめんなさい」


それから彼女と会うことは二度となかった。


「あの雰囲気で?マジか!!」

そこから彼は女性を信じられなくなりましたとさ。


おしまい。


※似たようなことはありましたがフィクションです。