大谷翔平は常識をはるかに超えた存在だ。
世界最高峰のメジャーリーグにて投手として3勝をあげながらも打者としてこれまで本塁打王に位置している。
もはや、あまりにも現実離れしていて漫画の主人公として描いてもバカにされるようなレベルの成績を残している。
先日、その大谷はシーズン半ばにして松井秀喜氏が記録したメジャーでの日本人最多31本の記録に並んだ。
それに対する松井氏のコメントがなんとも良いものだったので紹介したい。
私は長距離砲として期待されながら期待に応えることができなかった。
野球ファンの方たちは自分の姿にもどかしさを感じていただろう。
大谷君は間違いなくメジャーでも長距離砲としてトップクラスの存在に位置する。
その姿を見て、野球ファンは私に向けていたもどかしさをスッキリさせているのではないか。
私も同じような気持ちで「唯一無二」の大谷君の活躍を楽しみにしている。
そんな趣旨のものだった。
なんとも「誠実さ」に溢れたコメントだ。
私はヤクルトファンなものだから、巨人時代の松井氏は天敵だと思っていた。
もちろん、メジャーに挑戦してからはその姿を見て応援していたけれど、どこか昔に引きずられてあまり良い印象を持てないままでいた。
メディアで報道されるたびに「人格者」なのだなという認識は深まり、なんとなく「良い人」という印象に変わっていったけれど、今回のコメントを読んで、素直に「素晴らしいな」と感じた。
本人は謙遜しているが実績は申し分ない。
勝負強い打撃で存在感を発揮して、打点を荒稼ぎ、
ワールドシリーズのMVPという快挙も手にしている。
それでも「自分は期待に応えられてはいなかった」
松井氏の中にはそういう思いが残り続けていたことに驚く。
「日本人最高のスラッガー」として名前が挙がってもおかしくない選手、
「松井だったらもっとホームランを打てたはず」
そうした大きな期待を背負って生きていくことの大変さ、
そういうものを垣間見た気がする。
日本ではシーズン50本を放っても、メジャーでは31本、
純粋なパワー勝負の中での「長打力」という点では日米にそれくらいの実力差はあるのだろう。
だからこそ、大谷翔平のすごさは際立つ、
もはや「日本人」という枠に収まる存在ではないのかもしれないけれど、
日本人として全国民の期待を背負い活躍を続ける姿に励まされる。
「二刀流」として日ハムに入団したときは「そんなに甘くはない」と懐疑的な意見も多かった。
メジャーに挑戦したときも現地ではおおむね同じ反応だった。
それを覆す彼の存在、
もはや「異次元」だ。
「野球を上手くなることしか考えていない」
これだけ才能に恵まれた選手が人生のすべてを野球に懸けているのだ。
その成長は止まることを知らない。
今年の大谷はどれだけすごい記録を残すのだろうか。
野球ファンとして楽しみだ。