「童貞のまま結婚した男」の記録

元「30代童貞こじらせ男」 30代後半まで童貞で、そのまま結婚した男の記録です。

12月の魔力

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この時期に差し掛かると、

どこか忙しない気持ちになってくる。

 

やり残したことはないか。

やっておくべきことはないか。

今年はどんな年だったのか。

 

そんな感情が心を揺さぶるのだろう。

だから落ち着かないのだ。

 

今年は忘年会の予定がちらほら入ってきた。

変異株が話題になってきたので見通しはどうなるかわからないけれど、日本はそういう時期に差し掛かってきたのか。

 

政府の方針に倣って、経済界も規制緩和を進めている。

通勤電車や昼時も徐々に混み始めて、キャリーケースを引く人を目にすることが増えた。

 

ここぞとばかりに旅行をして、ここぞとばかりに楽しんで、またここぞとばかりに自粛するのだろうか。

そのあたりをうまくやっていかないと、日常から楽しみを見出すことは難しい。

 

環境に慣れてくると、これまで気を張っていたものが少しほぐれてくる。

それによって余裕が生まれるかと思いきや、あまりそういうことはない。

 

溜まりに溜まった疲れが押し寄せてくるような感覚、

ここ最近はそういうものが強い。

 

いよいよ12月、

後回しにしていた事務的なことをしなければならないけれど、休日を迎えると寝たり、溜まったドラマを見たり、あまり有意義とは言えない使い方をしている。

 

それとは裏腹に忙しなく動く心、

サンタとやらが活躍する季節が近づいてくるからだろうか。

 

「それどころではない」と、女性関係の方はしばらく何事もなく進んできた。

だけれども、急に距離の近づく男女たちの姿を目にすると、自分の中には芯が抜けているのではないかと、そのような感覚に陥る。

 

「チョコなしのトッポ」のような感じだろうか。

 

やるべきことを、望んでいることを後回しにして、外の硬い部分だけを固めているような感覚、

 

穴を覗いてみると向こう側が見える。

中身がスカスカなのだ。

 

世間の男女は「12月の魔力」にほだされて、続々と距離を縮めていく。

イルミネーションはそれを歓迎するかのように鮮やかに輝く。

 

いったい私は何をしているのだろうか。

 

イルミネーションに心を奪われているふりをして、上ばかりに夢中になっていれば、手を繋ぐ男女の姿を視界に入れずに済む。

 

結局は何も変わらないのだ。

環境を変えたところで、何も変わらないのだ。

 

私の望んでいるものは、私が変わらなければ手に入らない。

そんなことを感じながら、イルミネーションに照らされて一人歩く夜、

 

こんなに人がたくさんいても、孤独というものを強く感じるのだと気づく。

私はこの中の誰とも繋がっていないのだ。