(C)2006 CLAMP・ST イラスト/小笠原智史
リアルタイムではなかったけれど、そこからあまり時を逸せずに続編まで含めて全話を見た記憶がある。
もう15年ほど前の作品だ。
つまり、今の私になる「前の私」がハマった作品の一つだ。
キャラクターデザイン原案は『レイアース』『カードキャプターさくら』等のCLAMP、
主題歌はALI PROJECTと、アニメファンからすればかなり豪華なスタッフを揃えた作品でもある。
当時の私は、エンディングテーマの一つであるSunSet Swish『モザイクカケラ』という曲が好きでよく聞いていた記憶がある。
例の如くAmazonプライムビデオにアップされていたので改めて見た。
今見てもハマる。どんどん睡眠時間を削られていった。
色々な作品のエッセンスを抽出しつつも、オリジナリティ溢れる見せ方や、
設定は穴だらけだけれども、次から次へと進む怒涛の展開で視聴者を惹きつける。
散りばめられた数々の胸糞悪い展開、
次の話が気になってしまう。
海外ドラマのように、一度見出したら止まらなくなる作品だ。
ネタバレは極力控える。
舞台は敗戦国となった近未来の日本、
架空であるブリタニア帝国から宣戦布告を受け、なす術なく敗れた日本、
国民は敗戦国民として虐げられている。
「相手の目を見て命じることで、その相手を絶対服従させることのできる」という悪魔の特殊能力を手に入れたブリタニアの学生であるルルーシュ、
彼は「ゼロ」と名乗り、日本解放を目指すレジスタンスの英雄として確固たる地位を築き上げていく。
彼がブリタニア帝国に恨みを持つ理由は?
そしてその正体は…
そんな筋書きだ。
しかしルルーシュの背景には「悲しみ」が隠されている。
悪魔の力を手に入れたことにより、どんどん人の心を捨てざるを得ない状況に追い込まれていく。
特異な能力は「人の心」を壊していくのだ。
いわゆる「セカイ系」に属する作品でもある。
世界よりも愛する1人を幸せにすることの方が大事、
根底には「愛」するが故に「殺戮」に身を投じるというパラドックスがあるのだ。
突拍子のない展開から、アニメ史に残るほどの胸糞悪い展開のオンパレード、
スタイリッシュなキャラクターたちが次々と「人の闇」に落とされていく。
虐殺皇女様のシーンは、初めて見た時から忘れることのできないトラウマ展開だ。
15年ほど前の作品だが、いまだに若者のファンも獲得しているらしく、不朽の名作といって差し支えないだろう。
過去にハマった作品を見直してみるのも悪くはない。
私は、自分のことを「変わった」と思っていたけれど、もしかしたら本質的なところはほとんど変わっていないのかも知れない。
これだけ、もがいて、動いて、15年を重ねてきたとしても、心を動かされるものは変わらない。
「三つ子の魂百まで」というけれど、どこかで「感性」というものは凝り固まってしまい、そこから死ぬまで変わらないのかもしれない。
加えて、『コードギアス』という作品の持つ魅力が、普遍的に人に何かを訴えてくるのだろう。
世代を超えて支持を得ている作品だ。
文学でも、音楽でも、映像作品でも、
そういう作品は、いつまで経っても人類にある種の「テーゼ」を突きつけ続けるのだろう。