私はいつから、こんなにも女性を喜ばせることのできる男になったのだろう。
とにかく誠実にまっすぐに、嘘偽りない気持ちを伝えること。
私にできることはそれだけしかないのだ。
私のその態度は、相手によっては「重い」と受け取られる。
だけれども私の彼女は、その「重い愛情」を全身で受け止めてくれるのだ。
それどころか、同じかそれ以上の重さで愛情をぶつけ返してくれる。
私の健康ばかりを気遣い、私のことを応援してくれる。
「なんて素敵な女性なのだろう」と心から思う。
明確に距離が縮まった出来事。
彼女が「弱さ」を曝け出してくれた。
今までも、たびたびそういうことはあったけれど、
今回の「弱さ」はおそらく、彼女の人間性の本質に関わるもの。
私はそれをしっかりと受け止めた。
それを機に、2人の関係性は劇的に変わった。
お互いが、お互いと共に過ごす未来を想像していることを、確かに確認した。
私と彼女の間に存在した心のアクリル板。
それが粉々に砕け散る音が聞こえた。
もはや、密になろうが関係ない。
私は彼女の心と体を全身全霊を持って受け止めたいと思っている。
触れ合う体。
繋いだ手。
交わす言葉が途端に大きな意味を持つようになる。
お互いがお互いとの未来を意識していることを、言葉の端々から実感するのだ。
気持ちが繋がった。
2人で写真を撮った直後、
「いつまでも優しいますをくんでいてね」と、
彼女はそう呟いた。
その一言からは、
「いつまでも一緒にいたい」という気持ちが伝わってきた。
私は答えた。
「優しいだけが取り柄だから、そこは安心して」と、
話は具体的な話題に及ぶ。
「考えなければならないことがたくさんできたね。
次に会う時までにお互いしっかりと考えよう」
そう誓い合って、その日は手を振り別れた。
もはや、お互いのこと、家族のことを包み隠さずに語り合った私たち。
弱さや過去、人生観、これから先にどう生きていきたいか。
進んでいないように思えていても、確かに未来に向けての歩みを進めていたのだ。
初めて意識的に彼女の体に触れた。
きちんと、将来のことを確認してからだ。
タイミングとしては、ちょうど良かったのかもしれない。
彼女は前に「男の人が苦手」とそう話していた。
嫌な思いをしたことがあるようだ。
だから、私のこと慎重な姿勢は、彼女の歩幅に合っていたようだ。
ようやく、お互いを異性として「好きだ」と伝え合えるところまできた。
少しずつ階段を登っている。
見上げると果てしない数の段が待ち受けている。
私たちはこれから、長い時間をかけて、それを一段一段登って行くのだろう。
臨むところだ。