ケンカというほどのものではないのかもしれないけれど、彼女と意見の食い違いから険悪になることがあった。
別の女性からも言われたことがあるけれど、私は通すべき筋はしっかりと通さないと気が済まないタイプなのだ。
「誠実」という看板を掲げて、そこから外れない生き方をしようと努めている。
その姿勢が相手からすると堅苦しく映るのだろう。
偏見かもしれないが、基本的に女性はわがままで自分にだけ特別に優しくされたいと思っている。
私はその「特別」よりも、周りに対する筋を優先させるのだ。
「誠実でありたい」
その誠実さが自分の方にだけ向いていないと、不安を感じさせてしまうのだろうか。
私は彼女のことをもっと特別扱いして、子供をあやすように接しないといけないのだろうか。
そうしないと機嫌が悪くなる。
なんともめんどくさい生き物だ。
理不尽な要求に対しても笑顔で「いいよ」と答えて、内心はイライラしていても「素敵だね」と合わせて、
私はこれから先、そんな生活を強いられることになるのだろうか。
それでは体がもたないから、どこかで妥協するのだろう。
それまでは頑張るしかない。
彼女は、私が思っていたよりもずっと子供だった。
私が思っていたよりもずっと周りが見えずに独善的だった。
自分の主張を通すために、取ってつけたような理由で、これまで積み重ねてきたものを覆す。
そんなわがままな女性だったのだ。
こういう認識違いは、これから先もたくさんあるのだろう。
そして、その度に私は我慢をすることになるのだろう。
結果までの工程を順だって作りたい私と、結果が全てと考える彼女、
これまで築いてきたものをぶち壊して、まっさらな土地を指差して、「ここにゼロから明るい未来を築き上げるのだ」と主張されたところで、私からすれば「これまでのことはなんだったの？」となる。
そうするとこれから先、私は「どうせ壊される」という意識を元に、どんどん手抜き工事をすることになるのだろう。
そうやって、夫婦関係は「なあなあ」で進んでいく。
そんな未来が容易に想像できる。
仕方がない。
ほとんどの女性は、自分だけに特別にしてくれないと気が済まないのだ。
私が彼女に合わせて生きるしかないのだろう。
