関係が進むごとに、
差し出す気持ちの量は大きくなる。
友達、恋人、夫婦、
先に進むたびに相手に生活を委ねるようになる。
だから気持ちにたくさんの尾ひれがついて、
愛だの恋だのに留まらず、
怒りや不満、憤りといったものに及ぶ。
過ごした時の長さに比例して、
差し出す気持ちの質は穏やかなものに変わる。
互いのことを知り合うから、
過剰な愛情表現は照れくさくなるし、
不安や不満があっても「いつものこと」
そうやってやり過ごすことができる。
私と気になる彼女、
今はまだお互いのことをよく知らないのだ。
だから手探りで心の在処を確かめている。
とても不器用に、
だけれども慎重に、
気ままな猫みたいなお相手だけれども、
どこか核心に迫るところでは慎重に映る。
私の過去を聞き出そうとしたり、
どこまでのわがままを許してくれるのかなって、
そんな「確かめ行為」みたいなことがある。
心の在処を探っているのだろう。
お互いに、
まだ1ヶ月、
お互いのことなどほとんど知らない。
だから当たり前のことなんだけれども、
フッとどこかに消えてしまいそうで、
なんだかとても怖い。
不安を解消するためには、
時間を共有するしかない。
言葉をかわして、
肌を触れ合わせて、
お互いの存在を確認するしかないのだ。
「ここにいるよ」
そうアピールしてもらわないと、
気持ちが離れてしまったのかな、
関わるのがめんどくさいのかなって、
そう思ってしまう。
駆け引きできるほど強くはない。
寄り切るだけの力はない。
心の距離を推し量れないから、
何が正解なのかもわからない。
こちらが気持ちを差し出しても、
相手に同じだけの気持ちがなければ、
その重さに押しつぶされてしまう。
負担にはなりたくないけれど、
少しは負担でありたい。
恋って難しい。