現実をしばらく離れていて、
また現実に引き戻された。
そんな感覚だ。
私の心は、昔ほど動かなくなってしまったのかもしれない。
歳をとるに従って、経験からある程度の予測をできるようになる。
だから、新しい経験というものが減ってしまうのだ。
経験したことのないことを経験しても、過去に類似の経験をした可能性がある。
そうすると「あれと同じだな」と、引き出しから思い出を取り出して比較する。
だから、新しい感動を生み出しにくいのだ。
さらに歳をとって、体が不自由になってくると、もしかしたら、また心を動かすことができるのかもしれない。
「当たり前だったこと」が、どんなに輝いていたのかを思い知らされるから。
人はいつだって無い物ねだり。
いつも不満を抱えながら生きている。
それを言い訳にして前に進むことをやめてしまうか、
それとも前に進むための原動力にするか。
それで人生は大きく変わるのだろう。
偏った行動や思考ばかりに塗れていたら、どんどん心は動かなくなる。
あたらしい世界を恐れずに、あたらしい世界に飛び込む勇気を、常にポケットに忍ばせておかなければならないのかもしれない。
日常に戻っていく。
しかし、見える景色は前とは違うのかもしれない。
私が経験を積み重ねた分、私の心は少しだけ変わったのだ。
ほんの少しかもしれないけれど、ピッタリと張り付いていた地盤から引き剥がされて、動きやすくなったのかもしれない。
私の心が日常をどう捉えるのかは、私次第なのだ。