友達と「その彼女」がうまくいっていないらしく、
友達の彼女から「恋愛相談」を持ち掛けられて、
そうこうしているうちに「いい雰囲気」になって、
友達と彼女との関係は悪化の一途を辿っていく。
相談に乗りながら二人並んで歩いていると、
目の前の信号が「赤」に変わった途端、
急に彼女が私に抱き着いてきて私の胸の中で一言、
「好きになっちゃった」って、
だけれども、
私は「あいつを裏切ることはできない」って、
かっこつけて欲情よりも友情を優先しようとして、
挙句の果てに、
ギュッと私にしがみつく彼女に対して、
「もう一度あいつと話し合ってみたら」だなんて、
ズレたセリフを伝える始末、
彼女は私の背中に回していた手をサッと離すと、
頭だけ私の胸にもたれかかり、
うつむきながら強烈な一言を放つ、
「勃っていたくせに」って、
その一言だけを残して足早に去っていく。
私は呆然としながらも、
その後ろ姿を、
ブラウスの両腕の袖をギュッと握りしめながら、
両手を大きく横に振って力いっぱい走り去る後ろ姿を、
「後悔」と共に見送るのだ。
ふと前を向き、
「青」に変わった信号に目を向けると、
彼女とは「逆の方向」へ向かい、
ゆっくりと歩みを進める。
信号が変わるまでのたった45秒、
その間に大きく揺れ動く心、
下半身は反応しても、
そのスピードに心はついていけなかった。
ただの妄想だ。
そんなシチュエーションが「いいな」と思った。
「こういうものへの憧れ」
私の恋愛観の本質を突いている気がする。
そうやって私は何度もチャンスを逃してきた。
「誠実な自分」に酔っているのだろう。
結局私は「私が納得する形」での恋愛しか認めようとしないのだ。
私は頭で考えることを優先しすぎる。
もっと体に正直でもいいのかもしれない。
だから私は童貞なのだ。