私と彼女はこれ以上ないくらい順調に歩みを進めている。
お互いに若くはないものだから、年齢のことを意識してのことはあるけれど、それにしたところであまりにも順調に進んでいく。
その最も大きな理由は「違和感のないこと」だろう。
私と彼女は価値観が同じなのだ。
人生観から、恋愛観、食べ物の好みや病気を乗り越えた経験。
そして、少し前までは暗黒時代を過ごし、精神的に大きく荒れていたこと。
そして、それを乗り越えたタイミングでお互いが出会ったこと。
まるで、お互いがお互いと出会うために示し合わせたように、歩みを進めてきたようだ。
彼女は多くを口にしないけれど、初めて会った時から、私のことを見初めていたようだ。
しかし、どこか恋愛に対して恐怖心を持っており、踏み込むことのできない様子だった。
私はそれに気が付いて、とにかくゆっくりと慎重に、彼女に対して好意を抱いていることを伝え続けた。
彼女の人間性から、コンプレックス、容姿に至るまで、
「こういうところが素敵だと思うよ」と温かい言葉を浴びせ続けた。
会う回数を重ねるごとに、彼女は凍り付いた恋愛感情を開放していく。
徐々に彼女の心を覆っていた氷は解けていった。
そうして露になった、一糸も纏わない彼女の裸の心は「純粋」そのものだった。
その「純粋さ」に感応して、私の心の中には、確かな恋愛感情が生まれた。
始めは「尊敬」の気持ちから始まった。
だから、私も彼女に対する性愛の出所を「誠実なもの」だと感じることができた。
「募る思い」を私が言葉にし続けると、
彼女の心は熱を帯びていく。
驚くほどに加熱された彼女の愛情に、
今では私がやけどしてしまいそうなほどだ。
こうして私たちは恋に落ちた。
お互いがあまりにも異性に対する感情をこじらせていたものだから、
こうして私たちが惹かれあったことは「奇跡」だと感じている。
会うたびに心の距離は近づいていく。
そして次に会うまでの間に、気持ちは熟成されていく。
短い期間で私たちの関係は、名実ともに夫婦へと歩みを進めていく。
旧知の中だったように、同じ時に同じ経験を積み重ねてきた。
だからこそ、私たちは同じ時間を共有することに違和感がないのだ。
私のプロポーズの言葉は、彼女に取ってこれ以上ないものだったらしい。
お互いの求めているものが、手に取るようにわかる。
こうして、私たちはまた一つ階段を上った。