この曲のミュージックビデオは秀逸だ。
ただひたすらに、あいみょん本人が泣きながらビールを飲んで、ご飯を食べるだけで終わる。
設定は一人焼肉。
タイトルの通り、恋破れて咽び泣きながらも、
体はしっかりと生きるための準備をしている。
そのために、ただひたすら飲み食いをする。
泣きながら、泣きながら。
人は自分が思っているほど弱くはない。
「人生の終わりだ」と思うような経験をしても、
そこから立ち直ることができるのだ。
恋に限った話ではない。
疲れ切って、終わりの見えない苦境に立たされたとしても、
動いて、食べて、寝る。
それさえ、できていればなんとかなるもの。
人の持つ力強さ。逞しさ。
泣いている本人からすればたまったものではないのだろうけれど、それを目にすると微笑ましく思う。
泣きながら、ひたすらご飯を食べるその絵から、
人の持つ、「強かさ」が滲み出ており、
なんとも良いミュージックビデオだ。
あいみょんのセンスと、20代とはとても思えないほど、人生を深く生きているのだと感じる経験値に脱帽する。
心は止まっていても、
体は生きようとしている。
自棄食い、自棄酒、
それが次に進むための推進力になるならば、
それも悪くはない。
あいみょん『初恋が泣いている』