「童貞のまま結婚した男」の記録

元「30代童貞こじらせ男」 30代後半まで童貞で、そのまま結婚した男の記録です。

これからどんどん寒くなっていく

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「暑さ」は鳴りを潜めて、

「肌寒さ」を感じる時間帯が増えていく。

 

さすがに日中は汗ばむことが多いけれど、

その時間も徐々に削られていくことになるだろう。

 

去年の今頃、

コロナ禍の合間を縫うように、

友人と焼き肉を食べに行った。

 

当時、これもまた合間を縫うように、

「1か月限定」と再開したマッチングアプリ

 

友人との焼肉に満足した帰り路で気がつく。

私のプロフィールを見た女性から「いいね」の通知が届いていた。

 

相手のプロフを確認してみると、

10個も年下の女性だった。

 

かなりの年下で向こうからのアプローチ、

あまりないことなので期待はせずにメッセージを送ると、

数日後に早速通話をすることになった。

 

緊張気味の声から伝わる誠実さ、

読書好きな彼女とはすぐに意気投合した。

 

初めてのデートはお互いどこかぎこちなく、

印象としては「うまくいかなかったな」と感じたけれど、

彼女のほうは楽しむことができたらしかった。

 

それから何度かデートを重ねた。

 

会うたびにどんどん気温は下がっていく。

羽織るものは厚さを増していくけれど、

二人の距離は少しずつ縮まっていった。

 

並んで歩くと会話は弾むけれど、

向かい合うとぎこちなさが目立つ、

 

そんなところに違和感を感じながらも、

「今日は疲れていたのかな?」という私のメッセージが、

「疲れていたわけではないのに楽しそうに見えなかった」と彼女に捉えられ、

そこから一度関係は途切れてしまった。

 

その後しばらくして、

不意に彼女からメッセージが届く。

 

そこからもう一度やり取りを続けるようになったけれど、

結局はコロナに阻まれて、

何度も約束を先延ばしするうちに関係は終わってしまった。

 

秋口に始まって、

最後のメッセージは春の訪れ、

 

およそ半年間、

「寒さ」とともにやってきて、

「寒さ」とともに彼女は私の前から消えていった。

 

振り返るとちょうど一年前、

 

10個年下ということもあるけれど、

今まであまり接したことのないタイプの女性だった。

 

Mr.Children『くるみ』で歌われるけれど、

掛け違えてしまったボタン、

そこまでは仕方のないことだけれども、

持て余したボタンホールに、私は意味を見出すことができなかった。

 

もしも、すれ違ってからも、

もっと熱烈にアプローチをしていたら、

結果は違うものになったのかもしれない。

 

これもまた、ほんの些細なすれ違いからうまくいかなかった、

私の傷として残る「女性たちとの思い出」の一つだ。

 

これを最後にロマンスは生じていない。

あれから1年が経つのだな。

 

「恋愛」

 

私はこっちの方向と向き合うことをあきらめて、

「転職」という違う方向に挑戦の道を見出した。

 

おそらく、ボタンを掛け違えていなければ、

持て余したボタンホールに意味を見出すことができていれば、

今頃はまだ彼女との関係を探る形で、

「恋愛」と向き合いながら生きていたのかもしれない。

 

私は挑戦しているようで、

「恋愛」から逃げたのだ。

 

徐々に増していく肌寒さ、

深々と心の温度を奪っていく。

 

その寒さに耐えながら、

一日一日を踏みしめていく。

 

その歩みに責任をもって進んでいく。

私にできることはそれしかない。