「既婚の童貞」
私はもう少しで、大変レアな立場へと歩みを進めることになりそうだ。
既婚者の1%か、
もしかしたら、それ以下かもしれない。
アセクシャルの夫婦ですら、
子供を望めば行為をすると聞く。
私と同じラベルをつけるケースとして想定されるものは、
いや、ここ最近ドラマの設定でたまに見かける「世間体を考えての仮面夫婦」であれば、そういうこともあるのかもしれない。
いずれにしても、私はもう少しで大変レアな立場になることに変わりはない。
せっかくなので、そこに至るまでの経緯と、その後の想定を書き残しておく。
私と彼女は、交際自体が結婚を前提としたものだった。
それでいて、お互いが過去の経験から、異性に対する苦手意識を持っていた。
だから、心の距離は縮めながらも、体の距離を縮めることはできなかった。
私にとって10数年ぶりの交際だったものだから、
中学生のようにプラトニックな関係を続けているだけで、心は十分に満たされていた。
一度、体の距離を縮めたことで、彼女が少し体を後ろに引いたことがあったから、それからは私も慎重に彼女の気持ちを確認することになる。
少しずつ、少しずつ、
手を繋ぐところから体の接触を増やしていき、
互いの接点に違和感はなくなった頃合い。
唇を重ねる所まで行った後は、どうやら彼女は私に心を許してくれたらしく、とても積極的に私に対して体をくっつけるようになっていった。
「嬉しさ」と「煩わしさ」を同居させながらも、ベタベタとくっつく彼女。
この辺りで、とてもわかりやすいOKのサインは出ていたのだろうけれども、私はそこから先へと踏み出すことはできなかった。
結婚に向けて、二人の関係は進んでいく。
しかし、体が結ばれるまでには至らない。
こうして、私たちは婚前交渉のないまま、結婚することになりそうなところまできたのが今の状況だ。
しかし、いつまでもそういうわけには行かないから、数あるイベントの中に織り交ぜて、彼女が半ば痺れを切らした様子で、それとなくお泊まりの予定をねじ込んできた。
お互いに、ここまできたのならば、結婚した後で良いと思っている節がある。
だから、そのお泊まりは入籍した後になる見込みだ。
だから、籍を入れてからその日まで、私は「既婚の童貞」として過ごすことになるのだろう。
その期間はそこまで長くはない。
「失敗」ということにならなければ、
私はこれまでブログに掲げてきた「童貞」という肩書きを失うことになる。
大層立派に掲げてきたものだ。
それを失うことに対する気持ち。
「ようやく」という思いが強いだろうか。
不安と楽しみが同居する複雑な気持ちだ。
すぐにというわけではないけれど、
卒業の日が近づいている。
私と女性たちとの長い戦いに、一つの決着がつく形だ。
その時に、私の心境にどのような変化が待ち受けているのだろう。
今の私には想像もつかないが、そこまで大きく変わることはないような予感はある。
年を重ねて、色々なことを経験しすぎたものだから、大事な体験でも、若い時ほど鮮やかには残らないのかもしれない。
初体験に至るまで、私はあまりにも時を重ねすぎてしまった。
淡く存在感を示す複雑な思い。
今更、歴史を変えることはできない。
さて、そろそろブログの新しいタイトルを考えねばならない。