不思議なことだが、対面で向かい合って話をしている時よりも、並走して歩きながら話した方が会話が捗る。
普通に考えたら、向き合っている時の方が「話をする体制」が整っているはずだ。
しかし、私の場合はそうではない。
同僚と食事に行く時もそうだし、思えば婚活をしていたときに女性との会話を思い出してもそうだった。
向き合うとき遅れしてしまうのだろうか。
それとも、歩いている時のリズムが会話を弾ませるのだろうか。
実際のところはわからないが、自分なりに考察してみた。
人は、緊張したときにそわそわする。
そのそわそわする理由は、緊張を緩和させるためなのだろう。
体を動かしていないと、ネガティブな思考ばかりが浮かぶ。
だから気を紛らわせるために、人は体を動かしてそわそわするのだ。
そのそわそわ状態に近いのが、向き合っている時よりも歩いているときだ。
だから自然とそわそわ状態に近くなることで、緊張を緩和させて、会話が捗るのかもしれない。
「やることがない」と、人はネガティブな感情に支配されがちだ。
ネガティブな感情に支配される期間が長くなりすぎると、やがて心も体も機能を停止してしまう。
マグロやカツオのように、泳ぎを止めたら死んでしまう。
もしかしたら人間の感情も、それに近い構造なのかもしれない。
年と共に心が動かなくなる。
心が動かなくなっても、手足は動くから、なんとか手足を動かすことによって、心を動かしていく。
心が死んでしまわないように、手足を動かして、口を動かして、必死に自分の存在を証明しようとする。
だから、手足を動かしている時ほど、心も動き出し、自然と会話が捗るのかもしれない。
忙しくしている時ほど、案外ポジティブに生きることができている。
使わない機能から衰えていくのだ。
衰えさせないために、手も足も口も心も、たくさん使いながら生きていきたい。