大雪が降った。
「雪が綺麗」と笑うのは君が良い。
まだ綺麗なままの雪の絨毯に刻む足跡の平行線
粉雪舞う季節はいつもすれ違い
そんな歌のフレーズがあるけれども、
もはや雪に対して情緒を感じることなど、
とうの昔に忘れてしまったようだ。
交通機関の遅れや配送の遅れ。
利害のことばかりを考えて、
雪が降ることに嫌悪感を覚える。
年々、心は動かなくなってしまうのだろうか。
手足が動かなくなるよりも先に、
まずは心が動かなくなるのだ。
徐々に世界に対する興味を失っていき、
気がつくと何をするにも億劫になる。
人間は使わなくなった昨日から衰えていく。
心を動かさないでいると、
やがて心を動かすために必要な機能が衰えていくのだ。
心が動かなくなったとき、
手足が動くうちは、手足を動かした方がいい。
村上春樹『ダンスダンスダンス』の主人公は、とにかく行動し続けることで、凍った心を取り戻したのだ。
時に逆行して何かを手に入れるためには、並の努力では何も掴み取ることはできない。
成功体験を掴むことができないと、人はどんどん行動する意欲を失ってしまう。
足掻いて、足掻いて、足掻き続けるしかない。
目の前の経験をありがたく享受して、凍ってしまった心が再び動き出すように、足掻き続けるしかないのだ。
心は死んでなどいない。
ただ凍ってしまっただけなのだから。