「童貞のまま結婚した男」の記録

元「30代童貞こじらせ男」 30代後半まで童貞で、そのまま結婚した男の記録です。

DVDが出たので2019年No.1の話題作、映画『天気の子』を見た

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「あいたたたたー。やってしまったな」

一言で書くならば、そういう感想だ。


新海誠監督の作品は、

自主制作の短編『ほしのこえ』を含めて、

世に出たほとんど全ての作品を見ている。


新海誠監督は間違いなく天才だ。

私はそう思っている。


「映像も構成も演出も文句なし、

だけれどもストーリーが根本的に好きになれない」


誰かに新海誠作品の話をする時は、

決まってそのように評する。


その上で『天気の子』


中二病爆発」だ。

新海誠節炸裂」である。


恋愛至上主義

「世界よりも大事なものがある」

「世界」よりも「一人の女性」を選ぶ。

 

これでは『秒速5センチメートル』の延長線上だ。


「手に入らないから殻に閉じこもってしまった」

そんな『秒速5センチメートル』から、

「僕たちは大丈夫だ」で締め括られる『天気の子』


確かに前には進んでいるけれど、

ごめんなさい。

「恋愛」ってそんなに大事なものなの?


「真実の愛を求めている」

普段からブログでそんなことを曰う、

そんな「純愛至上主義者」でこじらせ男、

その私にこれを書かせるのだ。


はっきり言って、

『天気の子』のこじらせ方はぶっ飛んでいる。

 

前作『君の名は。』は、

少し尺を持て余していた感じはするが、

綺麗に終わるまとまった作品だった。


私の感想は、

新海誠が売れ線で作ったらそりゃ売れるわ」

だった。


君の名は。』が売れたから、

きっとこじらせ要素満載で、

今回は好きに作れたのだろう。


この作品が好きならば、

きっとその人は新海誠作品が好きだし、

そうでなければそういうことなのだろう。


「良くも悪くも新海誠監督らしい作品」

 

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※ここからは酷評するので注意


とても気になったのだけれども、

おそらくスポンサーたくさんついていた。

とってもたくさん、


ccレモン」に「どん兵衛」に、

チキンラーメン」にカルビーのポテチ、

ペプシ」もかな。

他にもたくさんあった。


あれだけ作中に銘柄を出すのだから、

スポンサーなのだろう。


どうも商業的な匂いがする。

なんだかそれが嫌だった。


珍しく構成もイマイチ、

「社会の闇」を描くために尺を使いすぎ、

 

世知辛い世の中と対比させて、

そこに対しても「僕たちは大丈夫だ」

そういうカタルシスを狙っているのはわかるのだけれど、


言の葉の庭』は、

見事に無駄なく46分でまとめていた。

思わず唸るほどの完成度の高さだ。

これもストーリーは中二病爆発なのだけれども、

 

新海誠監督は中編向きの監督だ。

まとめる力が凄すぎて尺を持て余すのだろう。


少し前にアニメ映画化された、

森見登美彦さんの『ペンギンハイウェイ』


本作と比較対象にされるくらいには、

似ている点が多い。


話題性を抜きにしたら、

ハッキリ言って『ペンギンハイウェイ』の方が良くできていたと思う。


私がブログで作品を酷評することは珍しい。

心を動かされたものしか記事にしないから、

もしかしたら初めてかもしれない。

 

本作にはめちゃくちゃ期待していた。

だからある意味で心を動かされたのかな。


その分だけ、

少し、いやだいぶ残念だった。

 

良かったシーンはたくさんある。

私の期待が大きすぎたのだろうか。


宣伝でもよく流れていて、

ポスターにもなっているけれど、

空から落ちるシーンは見事だ。

この記事のキャッチにしているシーン、


あのシーンにつなげるために、

そこまでの全ての流れがあった。

「あのシーンのための作品」だと思えば悪くない。


一つ一つのシーンにこだわりを感じるし、

素直にグッとくるものはある。


なつみさんのバイクに飛び乗ってから暴走、

制止されても野次馬に馬鹿にされても気にせずに、

線路をひたすら疾走するシーン、


あれも見事だ。

 

東京の街並み、

そのリアリティ、

細かい看板まで見事に再現されている。

そのこだわりは驚嘆するほどだ。


演出と映像はさすが、

文句のつけようがない。


だけれどもやっぱり、

「恋愛」ってそんなに大事なものなの?

それに尽きる。


青春の疾走感だったり甘酸っぱさ、

そういうものには共感するけれど、

「これ見よがし」で、

なんだかそこにリアリティがない。

作画はこんなにもリアリティに溢れているのに、


新海誠節」


秒速5センチメートル』は何度も見た。

あの希望のない世界観に閉じ込められる感覚、

そんな悲劇に浸れるある種のヒロイズム、

そこに生まれるカタルシスはある。


だけれども、

「人生って恋愛しかないの?」

どうも視野が狭くてそこだけは共感できない。

 

もう一度書くけれど、

私は新海誠監督を天才だと思う。

 

なんだかんだで新海誠監督の作品をこれからも追うのだろう。

期待に胸を膨らませながら、

 

私の感想はそんなところだ。