「童貞のまま結婚した男」の記録

元「30代童貞こじらせ男」 30代後半まで童貞で、そのまま結婚した男の記録です。

久々に『君の名は。』を見た感想

f:id:tureture30:20221105154826j:image

 

新海誠監督の最新作『すずめの戸締まり』公開を控えて、

先日、金曜ロードショーで同監督作品である『君の名は。』が放送された。

翌週には『天気の子』を放送して、機運を高めた状況だ。

最新作は11月11日に封切りとなり盛況のようだ。

 

私の新海誠監督への評価は、過去に記事にした通りだ。

 

tureture30.hatenadiary.jp

 

tureture30.hatenadiary.jp

 

彼は、間違いなく天才だ。

「映像も、演出も、構成も文句なし。

ただ、根本的にストーリーを好きになれない」

 

私はいつも、新海誠氏のことをそう評している。

しかし、この『君の名は。』は、新海誠監督作品としては珍しく、外連味のないハッピーエンドで終わる。

この作品を初めて見た時の私は、

新海誠が売れ線で作品を作ったら、そりゃ売れるわ」だった。

 

一度見てからは、不思議と再度『君の名は。』を見ることなく過ごしていたけれど、改めて作品を見直して、その才能に脱帽した。

 

あまりにも中二病に振り切って、惜しげもなくそれを表現するところからは、気持ち悪さを通り越して爽やかさを感じる。

満員電車で「お前だれ?」からの紐を渡すシーンでの伏線回収は、悪寒が走った。

 

最後の2人が出会うシーン。

すれ違う電車の窓越しに、お互いが「あっ」とした表情をして、

そこから、理由もわからずにお互いを探して走り出す。

そこから階段ですれ違いざまに声をかけての「君の名は?」

その「爽快感」は見事としか言いようがない。

 

一見、悪口のように聞こえてしまうかもしれないが、そうではない。

繰り返すが、私は新海誠監督を天才だと思っている。

ただ、その凄さを文章化することが難しいのだ。

 

人の心の奥底に鎮座して、登場の機会を失ってしまった「青臭さ」

それを刺激することにかけて、彼の才能は群を抜いているのだろう。

 

彼の作品を見ていると、言いようのない胸の高鳴りを感じるシーンに出会うのは、私の中にある「青春」が、まだ枯れていない証拠なのかもしれない。

 

だから、私は、私の中の青春が枯れていないことを確認するために、彼の作品が出るたびに、ワクワクしながらそれを見る。

そして、大抵はストーリーが私の性に合わず、作品全体としては「微妙だ」と感想を抱く。

 

それでも、ある種の中毒性にやられて、ワクワクしながら、次も彼の作品を見たいと思う。

不思議なことに、その繰り返しなのだ。

 

若い世代に話を聞いてみると、私が思った以上に「セカイ系」を受け入れる土壌ができているらしい。

『天気の子』を見て泣いたという人もいたし、心から共感したと語る人もいた。

 

パーソナリティが肥大化した時代だから、「世界よりも愛する相手」

それを選ぶことに対する抵抗は、私たちの世代ほど大きくないのかもしれない。

 

全体主義から個人主義への細分化。

そこにぶち込まれた、新海誠作品という「青春」に振り切った最終兵器。

それが見事に若者たちの心に刺さっているのだろうか。

 

世代によって、大きく見方が変わる彼の作品の発する不思議な魅力。

それは「青春」に対するアプローチの変化から来るものなのかもしれない。

 

私はこれからも、新海誠監督作品を見続けるだろう。

『すずめの戸締まり』は、どのような作品に仕上がっているのだろうか。

楽しみでもありつつ、見た後の残念感を恐れつつもある。

 

私と新海誠監督作品は、このようなスタンスで関係を続けていくのだろう。