人は誰しも心の中に空白を持っている。
どんなに努力をしても、
なかなか埋まってくれない空白を持っているのだ。
それを埋めるために、
あらゆる努力をする。
たくさんの努力をする。
それでも空白は埋まってくれない。
苦しくて、苦しくて、
それでも努力を止めることはできなくて、
やがて、糸がプツリと切れたように。。。
人には「宿命」というものがある。
それと向き合う作業が、
人生の本質なのかもしれない。
楽しんで、喜んで、そして力尽きる。
苦しんで、悲しんで、そして力尽きる。
その繰り返しが「人生」なのだ。
抗って、抗って、
良い時もあれば悪い時もあって、
欲しいものを手に入れたと思ったら、
また別の何かを求めるようになって、
抗って、抗って、
そして、力尽きる。
そうやって、少しずつ距離を伸ばしていく。
少しずつ、遠くへと足を伸ばせるようになる。
遠くへと旅立った末に、
ひとしきり満足すると引き返す。
そして、心の故郷へと帰っていく。
やがて、その生活が板に着くようになると、
一番遠くまで辿り着いた時のことを懐かしむ時間ばかりが増えて行く。
「自分はもっと遠くまで行けたのではないか」
「もっと上手くやれたのではないか」
そんな感情に縛られることになる。
だけれども、当時の自分からしたら、
それ以上は先に進むことができなかったのだ。
限界まで努力して、器を引き伸ばして、そこまでしか進むことができなかった。
その結果として、どこまで「宿命」に抗うことができたのかはわからない。
ただ、心の奥底から湧き上がる充実感。
それさえあれば「成功」と言えるのだろう。
いつまで経っても、勲章のように心に残るものがあれば、それを糧にして生きていくことができる。
そういう生き方も良い。
自らの居場所は、自分自身で作るのだ。
ふと、心に問いかけた時、
その時に「心が満たされている」のであれば、
それだけで十分だ。
「空白は埋まった」
心の空白の存在すら忘れてしまい、漠然した幸せに包まれながら、その理由を考えることもなく、最後の時を迎える。
心の底から湧き上がる幸せ。
そういうものを手にすることができたのならば、
その人の人生は「完成」したことになるのだろう。
「宿命」
それは、人が困難に立ち向かい、
人生を「完成」へと導くために必要なもの。
完成間近だと思っても、新たな課題が降り注いでくる。
そしてまた、完成へと歩みを進めていく。
私たちは、その繰り返しを生きるのだ。
果てのない旅路に思えても、
最後の時は必ず訪れる。
その時に自らの心を満たしてあげるために、
我々は歩き続けるのだ。
宿命に抗いながら、
自らの望む道を目指して、
いつまでも歩き続けるのだ。