©︎集英社
設定がなんともぶっ飛んでいる。
「異世界転生もの」の派生版とも言えるが、
「こう来るか」という驚き満載のスタートだった。
設定だけで、これほど見入ってしまうほど、ぶっ飛んだ作品にはなかなかお目にかかれない。
冒頭では、ゆるくほのぼのとしたテイストで物語が続くのかと思いきや、アニメ第一話のラストは、衝撃の展開で『コードギアス』のようなシリアスな展開へと進んでいく。
原作はヤングジャンプに掲載されているらしい。
私はAmazonプライムでアニメ版を見て、初めてこの作品を知った。
11巻まで刊行されているので、原作の方はだいぶ話が進んでいるのだろう。
私はまだアニメの第一話しか見ていない。
あまりにも衝撃的だったので、思わず記事にしたくなった。
ネタバレは控えて所感を綴る。
「人を道具として消費する」
そんな芸能界に対する皮肉を込めた作品でもあるのだろう。
アイドルは「虚像」であり、その現実は嘘で塗り固められている。
アイドルも人間であり、外から見えているように清らかな存在では決してないのだ。
【あらすじ】
絶世の美少女として、文句のつけどころのないルックスを持つ駆け出しアイドルである「アイ」
実は彼女は16歳で子供を産み、それを隠したままアイドル活動を続ける母でもあった。
その双子の子供の兄として転生した主人公。
前世で主人公は、その16歳のアイドル「アイ」を推すファンだったのだ。
その子供として主人公が転生したから「推しの子」
タイトルの意味は、そういうことなのだろう。
母のアイドル活動は順調に続き、少しずつ全国区へとのし上がっていく。
そして、所属するアイドルグループは、念願のドームでのライブを行うこととなる。
しかし、ライブの当日に思いもよらない悲劇が起こる。
そこから全く別の人生へと進むことになる子供たち。
物語はプロローグを終えて、幕を開く。
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人の心の闇。
コンプレックスを刺激されると、人は簡単に逆上する。
コンプレックスは、人と比べて自分が劣っているということを本人が自覚している弱点だから、そこをピンポイントで突かれると、「痛いところを突かれた」と感じ、何も言い返すことができなくなる。
そうなると、残された選択肢は「キレる」しかない。
キレて怒りを露わにすることで、相手を威嚇して自分という存在の大きさを見せつけることしかできないのだ。
脆く弱い。
だからこそ、傷口を隠すようにセメントで隙間なくガチガチに固める。
弱さが外に見えないように、代わりの物を愛することで、隙間を埋めるのだ。
厳重に隠す。そうしているうちに、その代替品は、無くてはならないものとなる。
人は「時間をかければかけるほど、その対象に対して愛着が湧くもの」だ。
それが歪んだ愛情に変化した時に、人生の全てを否定されたように思い、人生の全てを投げ打ってでも復讐をしたいと考える。
その復讐が検討はずれだったとしてます、本人はそのことに気が付かないのだ。
「真っ直ぐな感情」が交錯し合う作品だ。
誰もが純粋であるが故に、その感情はぶつかり合う。
そして起こる化学反応により、悲劇も喜劇も生み出される。
ある種の「象徴」として描かれた「母」
それを軸として、物語は展開されるのだろう。
これから先、どのような展開へと進むのだろうか。
人の「醜さ」と「清らかさ」を大きなギャップで魅力的に表現する作品だ。
少なくともアニメ一期は最後まで追うつもりだ。