「未練はない」
そう口にするほど、
人は未練に支配されているのだ。
男女の関係ってものは難しいね。
お互いが好きであっても、
お互いの相性がこの上なく良かったとしても、
ゴールまで辿り着かないことがほとんどだ。
映画『花束みたいな恋をした』
数年前にこの映画を見た私は「縁」というものを信じるようになった。
どんなに心惹かれあっても、どんなに相性が良かったとしても「縁」のない相手と一緒になることはないのだ。
そうリアルに感じさせてくれる作品だった。
みんな少なからず「痛み」を抱えながら生きている。
その「痛み」を乗り越えるためにさ。
「今の自分」を肯定することに躍起になってさ。
その作業にとことん没頭する中で初めて、
「痛み」を過去のものにできるのだ。
いうならば「上書き保存」
だけれども、1と0の世界とは違って、
人は「痛み」を完全に無かったことにはできない。
「痛み」を積み重ねて、
「痛み」を抱えながら生きていく。
時折顔を出す「痛み」をむず痒く思いながら、
それを含めて「過去を肯定しながら生きていく」のだ。
そこまで到達できれば大したもの。
確かに「生きた証」を残したと言えるのだろう。
「痛み」を感じているうちは、
とことん「痛み」に耐えなければならない。
「痛み」を生み出した人とは違う、
別の誰かに寄り添いながら。
wacci『別の人の彼女になったよ』