人に対して誤りを指摘することは難しい。
人伝であれば尚更だ。
会社のルールから外れた行動を人伝に指摘した時のこと。
その人の私に対する態度があからさまに変わった。
当てつけのように、自らが破ったルールを声高に口にして、あたかも自分はルールを守っていることを主張する様子だ。
私に対しては、そのルールを一層厳しく守るように監視の目を光らせているみたいだ。
まるでそれが生きがいかのように。
自尊感情が低いからそういうことになる。
自らの軸となる価値観を持っていて、それに身を委ねて生きていれば、自然と自らの生き方を肯定することができるはずだ。
ルールを守ること、周りから評価されること。
それが価値観の軸になっているから、おかしなことになる。
どうしたら良いのかわからないのだろう。
私はその人のことをおそらく憐れむような目で見ている。
相手もそれを察してか、時折私の態度が気に食わないのだと口にする。
言葉に表さなくても、態度には表れてしまう。
そこまで抜け目なく監視して、自らの自尊心を守ることに躍起になる。
そういう人と同じ環境で働くことは、正直ストレスだ。
人に対しては細かく重箱の隅をつつくような粗探しが日課なくせに、自分が人から同じ指摘を受けると声を荒らげる。
その時の気分によって態度が違うため、常に顔色を伺うことが業務内容に追加される。
田あだでさえ忙しいのに勘弁してほしいものだ。
「自分は自分、他人は他人」
みんながそう思って生きられればいいのに。