体調のすぐれない中で、
妻が友人の結婚披露宴に参加した。
いつ「つわり」が起こるかわからない状態だったので、私も会場まで付き添う。
会場に入り、同じく参加する友人と妻をつなげたところで、私はお役御免となる。
あとは式が終わった頃にピックアップするだけだ。
自分が参加しない分、結婚披露宴の準備というものを客観的に見ることができた。
体調が優れない中でもメイクを整えて、朝早くから髪のセットにお金をかけて、いざ会場へと向かう。
妻と生活をしていると、フォーマルな場に臨む際の女性の準備が大変なことを知る。
髪型によって作法があるということも初めて知った。
男はいつものようにスーツを着ていればいい。
なんとも気楽なものだ。
私が妻の立場ならば、欠席のお詫びをしたのちに、落ち着いてからご祝儀だけ後日届ければいいのに、と考える。
食欲はあまりないから、料理をまともに食べることもできないし、途中で気持ち悪くなったら退出することにもなるから、かえって式場に手間をかけることもあるだろう。
しかし「なんとかお祝いしたい」という気持ちが妻を突き動かすのだ。
無事に披露宴を終えて、友を祝うことのできた妻の表情は晴れやかだった。
家に着くと、どっと疲れた様子で倒れ込む。
大きな使命を果たしたかのように、ゆっくりと休む。
そんな姿を見て、私は妻のことを尊敬する。
「当たり前のように人のために行動できる人」
初めて会った時から、妻のそういうところが素敵だと思っていた。
如何に似たもの夫婦といえども、価値観が全く一致するということはない。
私の常識では選択しないようなことを、妻が選択することは多い。
そして、多くの場合は周りの人に対しての誠実さだったりする。
「そこまでする?」と思うようなことでも、妻は誠意を示すべきだと譲らない。
自分のことを「誠実だ」とブログに書くような私でも、さすがにその妻の姿勢には負ける。
私は私に輪をかけたような、融通の効かない相手と結婚したのだ。
そして、その選択は間違っていなかったのだと思う。
「正しいと思うことを貫く力強さ」
そういうものを妻から教えていただく。
この人と一緒に生きていくためには、私はまだまだ自分の価値観をアップデートさせる必要があるみたいだ。
これから先も同じようなことは続くのだろう。
お互いに無理をしすぎないようにだけは、注意しなければならない。