のび太が恋敵と決めつけて、しずかちゃんと出来杉くんが仲良くしているところに嫉妬をしていたけれど、大人になるまで深い付き合いが続いているくらいだから、案外、のび太と出来杉くんは相性が良いのかもしれない。
スポーツ万能で勉強ができ、おまけに性格まで申し分のない出来杉くんと、スポーツも勉強もできないけれど、射撃と昼寝の天才で、時折抜群の発想力を発揮するのび太。
対照的な2人だからこそ、相性が良いということは少なくない。
しずかちゃんの心のうちは、小学生の頃から決まっていたのかもしれない。
それは出来杉くんの発言からもわかる。
「しずかさんのことでは、昔からのびくんに勝てる気がしなかった」
これも、のび太としずかちゃんの相性の問題なのだろう。
理屈ではなく引かれ合う相手。
そして、案外その直感は間違っていないことが多い。
無意識のうちに遺伝子同士が惹かれ合うのかもしれない。
恋敵としての側面を持ちながらも、お互いを認め合っていたのび太と出来杉くん。
だからこそ、大人になってからも良い関係を続けているのだろう。
幼馴染。
環境の変化とともに関係は薄れていく。
自分に置き換えてみても、昔から続いている関係は、ごく少なくなった。
その生存競争を乗り越えて、繋がり続ける関係は、時の洗礼を受けたものなのかもしれない。
だから、のび太と出来杉くん、ジャイアンやスネ夫の関係は羨ましく思う。
子供は時には残酷だ。
感情のままに人を傷つけることもある。
幼少期ののび太に対するジャイアンとスネ夫の仕打ちは酷いものがある。
それでも大人になるまで、時の洗礼に耐えた関係は本物なのだろう。
友情というものは難しい。
あまり深い関係だと思わなくても、長い期間を一緒に過ごすこともあるし、どれだけ仲が良かったとしても、些細な環境の変化で途切れることもある。
友情の招待は、当の本人にもわからないのかもしれない。
だけれども、相性は大事なのだろう。
一緒にいたいと思わなければ、自然と離れていく。
そうならないということは、お互いに居心地が悪くないということ。