「幸せは人と比べるものではない」って言うけれど、
じゃあ何なのさ。
モーニングコーヒーを片手に君はそう言った。
「人それぞれ」
そういうことじゃないかな。
パンに乗せたハムエッグが零れそうになるのを不格好に支えながら、
僕は自信なさげにつぶやく。
こうして君と過ごす朝、
もう少し続いて欲しいって思うけれども、
どうやら時間切れのようだ。
目が覚めると一人、
重たい頭を持ち上げてお湯を沸かす。
インスタントコーヒーを片手に、
夢の中の君に思いを馳せる。
「確かに君に夢中だった」
あの頃の僕は幸せだったのかな。
この喪失感がその確かな証拠、
「君と一緒にいることだよ」
幸せの定義を聞かれた時に、
迷わずそう答えられたならば、
今も隣に君はいてくれたのかな。
後悔は先に立たないのだ。
夢中になれることを探そう。
君に代わる夢中になれることを、
それは「他の誰か」ではなくて、
生活の中で、
「しばらく恋はお休みしたいな」
ふとこぼれ落ちた言葉、
「人を好きになること」って、
いつだって「好きな人を失う怖さ」を孕んでいる。
永遠に失われても、
心の奥底には残り続けるのだ。
ふとした拍子に顔を出す。
それは避けられないこと、
今は幅を利かせて、
将来にまで広がって、
この先の人生まで塗りつぶす。
「辛い現実」として、
時間はかかるけれども、
「過去のこと」
そうして1ページに収まってくれればいい。
人を好きになるって、
とても辛いこと、
だけれども諦めたくないこと、