先日記事にした、
『荒ぶる季節の乙女どもよ。』のワンシーン、
めでたく主人公と結ばれた彼氏さん、
主人公の友達から言い寄られる。
「初めて同士だとうまくいかないよ。
私と練習しない?」って、
満員電車で密着する体、
それを痴漢から守る名目で抱き寄せる。
間近に聞こえる荒い息遣い。
男ならば仕方がない。
これは勃ってしまう。
たまらず飛び出した停車駅で、
「私としたくないの?」って、
追い打ちをかけられる。
そこで彼氏さん、
「したくない!」って、
勇気を振り絞った一言、
ところが、
すかさず反撃を受ける。
去り際に耳元で「勃っていたくせに」
ここから彼氏さん、
自分の不誠実さに打ちのめされて、
主人公とさらに向き合うことになるのだ。
結果的にこのことが主人公と彼氏さん、
その二人の仲を深めることになる。
この作品のすごいところで、
花と仲直りをしたい王子様に助言した狐、
本当は王子様とずっと一緒にいたいから、
仲直りをさせたくなかったらしい。
(あくまでも作品の中の解釈で本当はどうだか知らない)
誘った友達は思いを寄せていた人から、
「お前は狐だ」って葉っぱをかけられる。
そうじゃないことを証明しようと動くけれど、
結果その通りになる。
改めてよくできた作品だった。
「勃ってしまった」
それを不誠実さと捉えて葛藤する純粋さ、
いかにも青春の甘酸っぱさだなと思う。
さすがの私もそれほど純粋ではない。
だけれども、
そういうのっていいなと思う。
もうそういう恋愛ってできないのかな。
私の人生では始まることもなく、
失われたものの一つだ。