対戦カードが1巡した。
雨天中止の試合もあるが、
リーグの全球団が他の球団と1カード(3試合)を終えたことになる。
まだまだ走り出し、
群を抜いて飛びぬけたところはない。
加えてイレギュラーなシーズンだ。
どの球団にもチャンスは十分にある。
さて、タイトルの件だ。
セ・パ両球団とも2番に強打者を置く傾向が顕著になった。
もはやメジャーでは主流の「2番強打者論」
日本では昨年がターニングポイントだろうか。
巨人は坂本勇人を、
横浜は筒香嘉智とチーム一の強打者を2番に置き、
チームとしても結果を出した。
今年はさらに2番にチーム一の強打者を置く球団が増えている。
伝統的に日本の野球では、
2番打者は「つなぎ」を求められた。
粘れる。
走れる。
バントができる。
最もテクニカルな打者を2番に置く。
それが日本の2番打者だった。
「強力な2番打者」
その象徴的な事例は2015年のヤクルト、
この年のヤクルトは14年ぶりにリーグを制覇する。
当時の真中監督は、
強力な2~4番を形成した。
それまでのクリーンナップは3~5番、
打線の肝、いわゆる「中軸」というやつだ。
それを一つ前倒しした。
現在の「2番強打者論」と比べると、
長打力のない川端を置いている点では、
若干、趣きの異なるものの、
この配置が当時もてはやされたことは記憶に新しい。
打順が早ければ早いほど、
回る打席数は増える。
1番に出塁率の最も高い選手を置き、
2~4番でランナーをホームに返す。
野球界はそういう方向に進んでいるのだろう。
だけれども寂しさもある。
「打撃職人」
そう呼ばれるようないやらしい打者、
そういう選手の価値が下げられてはしまわないだろうか。
数字には表れない価値ってある。
空振りをしてくれない打者に対する心理的な消耗、
ケースによって左右に打ち分けられる技術、
1番打者を走りやすくするためのアシスト力、
「打者」と一口に言っても、
様々な武器や個性があるのだ。
2番に強打者を置くことで、
結果が出ているのだから野球は変わっていく。
それは仕方のないことだろう。
だけれども「野球」が「ベースボール」に変わる。
それはなんだか寂しいもの、
イチローさんが危惧していたことでもある。
必要以上に数字を追うスポーツになってしまったら、
チームは個性の積み重ねではなくて、
金太郎飴のように単調なものになってしまう。
「走塁職人」
日本代表でも存在感を示した、
ソフトバンクの周東佑京、
そういう選手は見ていて気持ちがいい。
尖がった選手の寄せ集めにはロマンがある。
会社組織だってそうだ。
尖がったところをうまく重ねて大きなチャートができる。
それがマネージャーの腕の見せ所、
「2番強打者論」
前倒して手薄になった5番と、
上位につなぐ8番、9番がカギとなる。
そういう意味では選手にとってチャンスは広がった。
「職人の生きる道」
それに思いを馳せるのも野球の楽しみ方だ。
これだから野球は面白い。
社会では定年が伸びているのだからさ。
「職人」としてベテランの活躍できる場所、
そういうものがあるとチームだって盛り上がる。
無観客だから目立つようになったけれど、
ベンチで大きな声を出している選手だっている。
今年は「数字に表れない部分」
それにも注目したい。