充実の補強を経たスワローズ、
3人のメジャーリーガーに加えて、
パ・リーグ戦力外から多くの若手投手を獲得、
「謎の70人ルール」を撤廃して、
育成枠での獲得を広げています。
「今年のスワローズは違う」
そう思わせるのに十分な補強となりました。
さて、表題の件、
日ハムを戦力外になった「東大卒」の宮台と入団合意とのこと、
長いプロ野球の歴史を紐解いても、
東大卒のプロ野球選手は数えるほどしかおらず、
その「希少性」は大いに価値があります。
将来の幹部候補という目論みあっての獲得、
そういう側面もあるのかもしれません。
日本でも話題になった、
ノンフィクション映画『マネーボール』
ゼネラルマネージャーという立場、
日本では現場とフロントとの橋渡し役として、
プロ選手から監督経験を経て務めることが一般的ですが、
メジャーリーグでは既に、
プロ選手経験のないインテリたちがひしめく状況、
球団経営の手腕も去ることながら、
セイバーメトリクスと呼ばれる指標によって、
「数字で野球を見る」
その方針を加速させて、
チームの運営でも成果を上げているようです。
「野球」と「ベースボール」
単に呼び方の差ではなく、
競技としての毛色は大きく異なりますが、
どうやら同じ方向を向いてきた。
イチローさんは「野球愛」から、
それをあまり好まないような発言をされていましたが、
メジャーの後追いで日本の野球は明らかに変化してきています。
そしてパ・リーグの方がメジャーに近く、
セ・リーグに力の差を見せつける。
小技や技術が光る「スモールベースボール」から、
インテリ筋肉軍団が理論とパワーで圧倒する「ビッグベースボール」とでも呼ぶべきか。
そんな時代へと歩みは加速しています。
野村克也氏が常々仰っていましたが、
「野球は頭でやるスポーツ」
学歴はスポーツ推薦があるので何とも言えませんが、
インタビューなどを見ていても、
自分の意見をしっかりと言語化できる、
文武両道のプロ野球選手が増えている印象です。
中日ドラゴンズの契約更改の席で、
印象的なやり取りがありました。
慶応大学出身の福谷選手、
本人希望に届かない年俸提示に対して契約を保留、
それと同時に球団に対して、
「将来のビジョンがあるのか」と問う。
それに対して球団はまともに答えられなかったようです。
選手が球団に「ビジョン」を問う。
本来であれば当たり前の姿のはず、
日本プロ野球の場合は、
球団に選手の「保有権」というものがあって、
FA権を獲得するまでは選手は原則として保有権を持つ球団に所属する。
契約期間が切れたとしても、
球団が保有権を放棄しない限りは、
選手は自由に移籍することはできない。
そういうルールがあります。
だからどうしたって「球団」の立場が高くなる構図、
だけれども、
選手は個人事業主で、
契約年数より先を球団は保証してくれません。
いうならば、
球団は選手にとって「所属事務所」であると同時に、
「ビジネスパートナー」でもあります。
そういう立場である以上は、
選手は球団に対して大いに物言いをつける「権利」があるはず、
プロ野球選手のインテリ化によって、
その「権利」が表面化してきたのかもしれません。
彼の「オーナーと話がしたい」との意向に対して、
「分をわきまえないといかん。たかが選手が」と発言をして、
そのことが大々的に取り上げられ物議を醸す。
球史に残る事態となりました。
ここが大きなターニングポイントだったのかもしれません。
当時、問題となっていた球団合併に伴う、
球団数減と1リーグ制移行となれば、
多くの選手が働き口を失います。
結果として選手会の抗議は功を奏して、
12球団2リーグ制を維持して今に至ります。
特にパ・リーグの球団は経営努力を重ねて、
コロナ禍まではドル箱産業にまで成長しました。
このストライキは、
もう15年以上前の出来事みたいですが、
選手が権利を主張する礎になっているように思います。
話が散らばってきたのでまとめます。
今は「情報が共有される時代」
プロを目指すようなレベルでは、
学生スポーツも大幅に底上げされています。
自分の体を管理して、
自分の感情を管理して、
自分の生活を管理して、
そこまでしないとプロ野球選手にはなれない時代、
頭を使って自己管理を続ける。
今の選手たちは子供の頃からそのような環境で育ってきています。
だからインテリ化するのは当然です。
その選手たちの納得する形で輝ける環境を提供すること、
球団にはそういう能力が求められているのではないでしょうか。
少子化に伴い、
「働きやすい環境」を用意しないと、
労働力を確保できない時代、
社会要請は日に日に労働環境改善に傾いています。
もはやプロ野球の球団といえども特別ではないのです。
そうしないとどんどん選手は逃げていって、
「勝つ」どころではなくなってしまう。
時代の流れに即して、
プロ野球も変わっていかないといけないのではないでしょうか。