主に職場だ。
どの方も年上の女性だ。
ここ最近そういう機会が多い。
「つい触れてしまった」
そういう感じではない。
さりげなくも意思を感じるような触れ方だ。
「サッ」と舐めるように、
指を私の指先に滑らせてくる。
官能的な刺激だ。
気持ちがなかったとしても、
ウブな私には十分に「刺激」として伝わる。
散々痛い目にあったから、
職場でそう言うのは勘弁してほしいのだけれども、
私のアンテナが敏感すぎるだけの、
ただの勘違いなのか、
それとも・・・
いったいなんなのだろう。
今の職場に移ってから、
そういうことがあまりにも多すぎる。
「肩が触れ合っていても離れない」だとか、
「狭いところをすれ違うときにわざと体を押し当ててくる」だとか、
「思わせぶりなお誘い」だとか、
10個ほど年下から一回り年上まで、
いったい何なのだ。
私は恋愛に関してはとことん臆病者だから、
一度や二度のサインでは信用しない。
にもかかわらず、
あまりにも多いのだ。
それも一人や二人からではない。
「指に触れてくるあれ」
私も学生時代に好きだったバイト先の子にした覚えはある。
「触れたいな」って思ったから、
物を渡す時に気にさりげなく、
それと同じようなサインなのかな。
それともたまたま触れただけなのかな。
考えたところで仕方がない。
きっと「私はモテるのだ」
そういうことにしておこう。
それで自尊心が保てるのならば、
そうやって思い込んでいたほうが幸せだ。
なんてったって私だ。
安易に行動に移すことなんてない。
勘違いで迷惑をかけることはないのだ。
だから思い込んでおけばいい。
「私はモテるんだな」って、
勝手にそう思っていればいい。
ナルシストのくせに、
自分を認めてあげられないへそ曲がり、
この上なくネチネチしためんどくさいやつだ。
だけれども、
表から見える私はきっとそうではないのだろう。
サバサバしていて効率厨、
大したことをしていないくせに、
なんとなくデキる雰囲気を醸し出していて、
果断で上にも物を言う。
おまけに紳士気取っている。
ペルソナを使い分けて演出しているのだ。
本当は寂しがり屋で、
好きな人とは「いつも手をつないでいたい」
「後ろからギュッとしていたい」
そんなメルヘンチェリーボーイなのに、
指が触れた個所、
そこから波紋が生じて、
心を少しざわつかせるような、
そんな感覚、
ジョセフ・ジョースターさん、
これが「波紋のビート」というやつか。
気持ちがあるわけではない人に対しても、
「触れたいな」
女性に対するそういう欲求は、
いつでも私の中にくすぶっているのだ。
結局私は「女性」のことを「女性」として見てしまう。
それを止めることはできない。
もうそれでいいのかな。