コロナ禍になってから、どうやら巷は美人で溢れているようだ。
「マスクをしてからナンパされるようになった」
「マスクをしてから会社の男が優しくなった」
そんな声が聞こえてくる。
目元はメイクで誰でもキレイになれるってことなのか。
それともマスクをすると顔のバランスが整うのだろうか。
いずれにしても、それで世界が優しくなれるのであれば素晴らしいことじゃないか。
それに「好き」になってしまったら、マスクをしていようがいまいが関係なくなるだろう。
男は単純な生き物だから視覚効果に頼りきりだ。
第一印象でアリかナシかを決めている。
一度でもアリだと思ってしまい、かつ何かの拍子に「ドキリ」とさせられたら、心はどんどん引き寄せられていく。
マスクを外して「ん?」と思ったところで、一度引き寄せられた心が簡単に冷めることはないのではないか。
少なくとも私の感覚では、一度「いいな」と思ってしまったら最後、相手を意識するようになる。
そう考えると、マスクをすることによって意外と男女のロマンスは増えているのかもしれない。
そもそもさ。
容姿なんてものを必要以上に気にするからダメなのだ。
私の場合はそういうことが多い。
もうさ。
気にしないようになりたいよ。
本能とかどうでも良いからさ。
居心地の良い人と一緒になりたいよ。
だけれども、脳のどこだかわからないけれど、
器官がフル稼働して、簡単にはそれを受け入れてはくれないのだ。
私は私の人生にまだ期待しているのか。
それとも私はあまり誰かと一緒になることを望んでいないのか。
自分で自分を哀れに思う。
「マスク美人」
冒頭の通り、もしかしたらマスクは世界を優しくしているのかもしれない。
今までの世界はさ。
人と人との距離が近すぎたのかもしれない。
少し距離を置いてみれば、今までは見えなかった一面が見えてくる。
嫌だった青髭は見えなくなったし、
髪とマスクの間からひょっこりと覗くつぶらな瞳にキュンとしてしまうこともある。
密になることを避けるからこそ、
そこに生まれる「背徳感」が恋に火をつける。
隠すようになった鼻と口にエロティシズムを感じるようになる。
そんなこともあるのかもしれない。
どこかミステリアスな方がモテるのだ。
見えそうで見えない方がそそられたりもする。
人にはそんなメカニズムが備わっているのかもしれない。
みんなが「美男美女」だったならば、
きっと望んでも相手を得られない人なんて、
とっても少なくなるはずだから、
それほど人は「容姿」に縛られて生きている。
そう考えると、何と愚かなのだろう。
つくづくそう思う。
なんと愚かなのだ。
「私」って生き物は、
過去に縛られてばかり、
相手の容姿や年齢を気にしてばかり、
全くもって愚かな生き物だ。
残念な人、
マスクをしたままでも、残念な人、