「童貞のまま結婚した男」の記録

元「30代童貞こじらせ男」 30代後半まで童貞で、そのまま結婚した男の記録です。

若いころからの貯蓄って必要なの?

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芥川賞作家の羽田圭介さん、

新作『Phantom』を執筆したきっかけが面白かった。



私は「老後にばかりお金を貯めている」

前にそういう記事を書いたことがある。

今の時代は「将来への不安」から、そういう若者が多いようだ。


それを切り口に書き下ろされた『Phantom』

とても興味が湧いた。


羽田さんとは同世代だ。

芥川賞作『スクラップアンドビルド』の疾走感は見事だった。

それを読んでから、私にとっては気になる作家のひとりだ。


さて、冒頭のインタビュー記事、

この新作を書き始めたのは2014年とのこと、


そこからしばらくは塩漬けにしていたけれども、

昨今、若者の話を聞いていると「投資にのめり込む人ばかり」と実感し、

今こそ世に出すべき作品だと感じ執筆を再開したそうだ。


主人公は「生活を切り詰めて将来のための投資にのめり込む女性」

それと対比させて、恋人は刹那的な「オンラインサロン」にのめり込む。


未来のためにお金を貯める彼女と、今の自分に投資する彼、

そのコントラストから「お金」の魔力を浮き彫りにする。


記事によると新作はそんな筋書きのようだ。


個人年金を皮切りに、iDeCoとつみたてNISA、貯蓄ではないが節税を狙いふるさと納税まで始めた私、

実は「今を生きる若者」の典型だったらしい。


面白い言葉があったので引用させてもらう。


お金ってステロイドと同じなんですよ。年齢を重ねてゆくと、同じ額を使ってもだんだん効かなくなる。子どもの頃は1000円あったらすごく豪遊できたじゃないですか。それがだんだん、30代で10万円のものを買ってもさほど心が動かなくなって。歳とってから大金を使うより、若いうちに少額を使い切ってしまうほうが、よほど幸せだろうと思います。


その通りだと思った。

もしかしたら、お金の価値は年齢と反比例していくのかもしれない。

「経験」を積み重ねることで、「経験」に対する感動は薄れていく。


詰まるところ、人は「感動」にお金を払うと考えれば、若ければ若いほど費用対効果は優れていることになる。


体は衰えていく。機能は衰えていく。

いつまで生きられるかもわからない。

それでも人は「将来」に向けてお金を貯める。


確かに世界経済の成長と共に利幅は大きくなるのかもしれないけれど、

年を取ってからお金を手に入れたところで用途は限られているのだ。

 

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「自分の面倒は自分で見る」

そういう思いでお金を貯めているのならばいいかもしれない。


だけれども、多くの若者たちは、少なからず未来に待ち受けるであろう「希望」に思いを馳せてお金を貯めているはずだ。

 

今はあくせく働いているけれど、お金を貯めておけば定年後には悠々自適だとか、

私にしたってそういう思いはある。

でも、その頃にはお金の使い道は限られている。

 

そう考えると、なんだかコスパがあまりよくないような気がしてくる。


今は何かを我慢している感覚はないけれど、

病気になったり、ライフステージが進んだりと変化があれば、

「固定貯蓄」や「積み立て投資」が途端に重荷に変わるかもしれない。

この手の積立商品は途中解約をすると大体損をする仕組みになっているのだ。


今の若者たちは、漠然とした「不安」に突き動かされているのかな。

それとも「損をしたくない」という気持ちが強いのかな。

はたまた「無条件で情熱を傾けられるもの」があまりないのかな。


何かに「夢中になる」ということ、

それが人生にとって大事な時間であることは疑いの余地がない。


もしかしたら「今を生きる」ことから逃げた結果が「貯蓄」なのだろうか。


先日、久々に話をした後輩、

かつてはソシャゲに毎月給料のほとんどをつぎ込むと言っていた。

ソシャゲは不毛だということでやめたみたいだけれども、今はギャンブルにつぎ込んでいるらしい。


話を聞いていて「なんだかな」と思ったけれど、彼は「今を生きている」のかもしれない。


「お金の使い方」


「お金に振り回される」のではない。

「充実した生を全うするためにお金を上手く使う」のだ。


我々はどこか「お金さえあれば幸せになれる」と思い込んではいないだろうか。

それが「将来の不安」に対する唯一の対抗策だと思い込んではいないだろうか。

 

「お金」があったところで心が満たされるとは限らない。

やはり、「生きている実感」が大事なのだ。

 

ワクワクするお金の使い方、

 

今のうちにそういうものを考えて、そこにお金を使うことが大事なのかもしれない。

 

「今しか楽しめないこと」

そういうものがきっと、世の中にはたくさんあるのだろうから、