あまりに何度も報道されるものだから、
いたたまれない気持ちになり記事にする。
北京オリンピックで新設された種目「スキージャンプ男女混合団体」
各国の代表として男女2人ずつが2回のジャンプを飛び、その合計点を競うというものだ。
日本は男女の総合力が高く、この競技でのメダル獲得は濃厚と言われていた。
しかし、結果は4位、
女子ジャンプ界を牽引してきた高梨沙羅選手の1回目の大ジャンプが、まさかの着用するウェア規定違反による「失格」とのジャッジ、
それが大きく響く結果となった。
それを受けての高梨沙羅さん、
かなり憔悴した様子でSNSに謝罪の言葉をアップする。
競技中も「失格」となってからの様子はいたたまれないものがあった。
2度目のジャンプも素晴らしいものだったのだけれども、着地して競技を終えるとうずくまる。
その後は、涙を流しながら何度も頭を下げてチームメイトに励まされる。
率直に私の意見を申し上げるならば、
「胸を張って帰ればいい」と思う。
国の代表であることに間違いはないのだけれども、個人として限界まで努力をした末の結果であることに間違いはない。
一部の心ない声はあるのかもしれないけれど、彼女のこれまでの努力を知った上で責めることなどできるはずがない。
女子スキージャンプは、ものすごく入れ替わりの激しい世界で、ここ数年で飛躍的にレベルが上がっているという。
その中で高梨選手はオリンピック3大会以上の間、世界のトップクラスに居続けているのだ。
そんな選手は世界を見渡しても他にいない。
その実績が彼女の凄まじい努力を物語る。
ワールドカップの優勝回数は61回と歴代ダントツのトップ、
2位のマーレン・ルンビ選手が30回だと言うのだから、2位に倍の差をつける文字通りのダントツトップだ。
日本国内の話ではない。世界の話だ。
しかもワールドカップという最高峰の舞台での話だ。
彼女は25歳にして女子スキージャンプ界のレジェンド、生ける伝説だということは間違いない。
それ故にオリンピックでの金メダルに恵まれない点ばかりフォーカスされてしまう。
それは皮肉なものだ。
高梨沙羅さんの過去を振り返る特集を見たのだけれども、彼女は昔からオリンピックの時には笑顔がなかった。
「日の丸を背負うという重圧」
それは私には計り知れないものだけれども、人一倍、責任感の強い性格なのかもしれない。
今回も個人戦は4位とメダルに届かず、
そして混合団体ではこの結果、
天はどれだけ彼女に試練を与えるのだろう。
もしかしたら、このままユニフォームを脱ぐことになるのかもしれないし、更に4年後を目指すのかもしれない。
しかし、彼女がどのような選択をしたとしても、彼女の残した功績が色褪せることはないのだ。
今はただ一言、
心からの敬意をもって「お疲れ様でした」と伝えたい。
人生はまだまだ長い。
これからも彼女には輝かしい未来が待っているはずだ。