「童貞のまま結婚した男」の記録

元「30代童貞こじらせ男」 30代後半まで童貞で、そのまま結婚した男の記録です。

THE YELLOW MONKEY『JAM』

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しばらく会っていないのだけれども、昔仲の良かった友人が好きな曲だった。

 

私はあまりイエモンを聴かないけれど、最近この曲を聴く機会があって、とても示唆的で、今の世界情勢に通じるものがあると感じた。

 

みんな自分と関係のある範囲だけで手一杯。

その範囲を超えた事柄に対しては、心を痛めることはあっても何もすることはできない。

 

世界の平和を望んではいるけれど、

私たちはあまりにも無力なのだ。

 

西加奈子『i』

この小説の主人公であるアイは、誰かが亡くなったことをニュースで目にするたびに、それをノートに書き留めておく。

不幸な境遇から幸せな家庭に引き取られた自分は、この人たちに申し訳ない。

自分が死ぬべきではなかったのではないか、と素直に幸せを受け入れることができないのだ。

 

天童荒太『悼む人』

主人公は、仕事を辞めて、亡くなった人を悼むために、その現場へと足を運び祈りを捧げる旅に人生の軸足をシフトする。

彼が語るには、今の自分は「そうしないと生きていけない」と言う。

 

人は、生い立ちや境遇によって、多種多様な価値観を持っている。

「共感」の範囲が極端に広くても、自尊心を傷つけてしまう恐れがあるし、それが極端に狭いと、誰かを傷つけてしまうことになる。

 

「世界の痛み」とでもいうべきものをどこまで引き受けるのか。

それは個々に委ねられた課題なのかもしれない。

 

自分には何もできないかもしれない。

だけれども、目の前の愛を育むことにも意味はあるのかもしれない。

 

ただ、悪意に侵されることなく、周りの人たちに愛を伝えていくこと。

そこから生まれてくるものはあるのだ。

 

そして、1人でも多くの人が、自らの悪意を制して、周りを愛することができるようになれば、争いの範囲は縮小するはずだ。

 

「自分がどう生きるのか」

 

自分の人生だから好きに生きればいい。

だけれども、葛藤しながら生きている人は強い。

 

好きなことに身を委ねながらも、どこか悶々として、世界の痛みを少しだけ引き受けて生きる。

 

みんながそうやって生きていければ、

それが、優しい世界に繋がるのかもしれない。

 

 

THE YELLOW MONKEY『JAM』