「童貞のまま結婚した男」の記録

元「30代童貞こじらせ男」 30代後半まで童貞で、そのまま結婚した男の記録です。

「中絶」が違法になる社会

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自由の国アメリカ、

最高裁での判決が物議を醸し出している。

 

「中絶は違法である」

 

この判決をきっかけとして13の州では「トリガー法」が適応され、自動的に中絶が違法となることになっていたが、多くの州でこの施行は「差し止め」となり、世相を反映する形となる。

 

そもそも、日本ではあまり知られていないのかもしれないが、アメリカはキリスト教の国だ。

そして福音派と呼ばれる原理主義勢力が力を持っている。

実質的に政治や司法に対する影響力も強い。

 

この勢力は、未だにダーウィンの進化論を認めない立場をとっている、科学よりも教義を重んじるコテコテの原理主義勢力である。

そうした背景を考えると、今回の判決がされた理由もわからなくはない。

 

政治に哲学は必要だ。

むしろ、信念なき政治ほど民衆を混乱させる。

確かなイデオロギーの存在はあって然るべきだ。

 

その点で宗教の持つ役割を否定することはないし、

世界的に見れば、国家という枠組みは、民族と宗教の違いで成り立っている。

 

国としての方針を決めるにあたり、その根幹にある思想が確固たるものであるか。

日本にはその考え方が足りないくらいだと思う。

 

だから、政治の中に哲学として宗教が存在することは何も問題はないと私は考えるけれど、その教義が法律に強く影響するとなると話はこじれてくる。

ましてや、中絶の話は「基本的人権」にまで抵触する事案だ。

 

宗教は100%の善意と、100%の悪意を兼ね備えた物凄く振れ幅の大きな諸刃の剣。

個人として信念を持って生きるのであれば、それ自体が美学となるけれど、国としてそこに乗っかるとなると、おかしな方向へと行きかねない。

 

そもそも、権力を分散するための三権分立なはずなのに、それを包括するような権力が生まれてしまったら、それぞれで舵を取ることができなくなってしまう。

 

唯一神という絶対的な他者、

それは人の行動を180°転換させる理由になり得るのだ。

 

今回の中絶の件は、庶民の肌感覚からして、ものすごく振れ幅の大きなものだったのだろう。

各地でデモが起きているようだ。

 

一貫性を担保できない政治、

そして、それが民衆の生活に大きな負の影響をもたらすのであれば、それは多くの場合で害となる。

 

誰もが得をするような政策など存在しない。

だからこそ、政治家は政策を施行するにあたっての説明責任を果たす必要があるのだ。

 

スキャンダルの弁明にばかり時間を費やして、そこへの説明責任ばかりを追求して、日本の政治は何をしているんだろうね。

 

逆に言えば、日本は平和なのかもしれない。

変化を嫌う日本人の気質、

 

あまりにも振れ幅の大きなことをやろうとすれば、良くも悪くも民衆がそれを許さないくらいのチェック機能は働いていると感じる。

 

童貞のまま結婚しそうな私には、当事者としてはあまり関係のなさそうな話ではあるが、もしも日本でも中絶が違法となったならば、どのような社会に変わるのだろうか。

 

性風俗や売春のリスクは格段に上がり、女性たちはそこから撤退する。

性のはけ口を失って強姦事件が増えるのだろうか。

そして、その結果出来てしまった子供を堕ろすことはできない。

そして、ダウン症など、生まれながらにして障害を持つ子どもの数もおそらく増えるだろう。

 

セーフティネットが失われるわけだから、孤児は増える。

少子化対策どころの話ではない。

そこにあまり希望を見出すことはできないと、想像するだけでもわかる。

 

中絶は「神への冒涜」なのかもしれないけれど、一度それを獲得した人類にとっては、手放すことの出来ないものへと変わったのだ。

 

これから先の未来は、ゲノム編集やらクローンやら、

この手の話は後を絶たないだろう。

 

人類はどうバランスをとって、

どこへ進んでいくのだろう。

 

道徳や哲学は淘汰されるのだろうか。

それとも、人は人としての特権である「理性」を哲学や宗教に求め続けるのだろうか。

 

それは誰にもわからない。

「神のみぞ知る」のだろう。